職員の中にまれに
- 休憩時間を削って利用者の対応をしている
- 休日に利用者の頼まれ物(買い物など)をしている
- 休日に出てきて利用者対応をしている(緊急時を除く)
- 職場に物品が足りなく、自分で用意して寄付という形で職場に提供している
こういう人、いませんか?
実を言うと私も若い頃はそういう職員でした。それこそが利用者のためと信じて疑わないような職員でした。
でも、月日が経ち、多少なりとも知識も経験もついてきた今、
その考えはおかしいと気づきました。
以下、そのことについて書いていきます。
休憩や休日なのに自ら進んで仕事をする職員
冒頭にあげたような動きをしている人は一見、真面目で仕事熱心に見えるかもしれません。
が、
やらない方がいいと思います。
それどころか、職場環境や利用者に対して問題が起こる可能性があります。
勤務時間外に仕事をすることで起こる問題
休憩や勤務終了後、もしくは休みなどの
「プライベートの時間」に仕事をしてると、以下のような問題が出てきます。
①自分の時間が無くなることによる心身のダメージ
勤務後や休憩時間、休日などのプライベートな時間を削って利用者対応をすると、自分の時間がその分無くなります。
十分なリフレッシュができず長い目で見ると、自分の心身の健康に悪いです。
そしてそれは徐々に心身を蝕み、バーンアウトへとつながります。
②勤務時間外にも関わらず仕事を振られやすくなる
現場がそういう「真面目な頑張り屋」に対し、無意識のうちにアテにします。本来はその日いる人数で回す必要があるのに、それができなくなります。「●●さんまだいるから頼めばいいか」と。
その日の勤務人数で現場を動かしていくことができなくなり、考えられなくなります。
結果として、日によって介護の質に差が出ます。
この風潮が致命的なダメージを及ぼすのが、
事故が起こったときと容体急変時です。
余談ですが、こういう「表面上は現場は動いている」状況は、
上層部に
「人足りてるね」
「現場はちゃんと回ってるね」
「物品も揃ってるね」
と思われることもあり、人員補充や物品購入が見送られるおそれがあります。
③自分と同じ働きをしない同僚への不満
「私はこんなに頑張ってるのに他の人は勤務時間にしか働かない」
「(勤務が終わってる人が)ナースコールが鳴ってるのに取らない。私なら勤務終わっても対応するのに」
などと、他の職員に不快感を持ったり、無意識に他の職員にも同様の対応を求めるようになります。周囲としてはたまったもんじゃありませんね。
双方の心情として、
当事者本人は、「周りは仕事をしない」と思い、
同僚達は、「頼みもしないことを勝手にやってる」
なのかなと思います。
どちら側からみても、職場環境は悪いと思うでしょう。
④サービスのバラつきによる利用者からの不信感
利用者が「●●さんはここまでしてくれるのに他の人は何もしてくれない」と、現場にマイナスイメージを持たれたり、苦情に繋がる可能性も出てきます。
ケアプランに基づく統一した対応ができなくなるということです。
善意とはいえ、一人のスタンドプレーが事業所全体の評判を落とすことにつながります。
勤務外や休日にどうしても仕事をしないとならない状況なのか?
ざっと思いつくものを上に書いてみましたが、いずれも介護現場にプラスになるとは思えません。
仕事は仕事時間にするものです。
休みや勤務後などの自分のプライベートを犠牲にしなければいけないような状況なら、
会議に出したりして対策を考えなければなりません。
どの仕事にどのくらい時間がかかっているのか。
見直しの余地はないのか。
もし、それでも暗黙の了解で行わざるを得ない状況であれば、
いつ、どんなことを、どのくらい行ったか、記録に残しておいてください。
事を荒立てるというよりは、そのデータを元に皆で考えるきっかけ作りができるからです。
今まで表面化してこなかった介護現場の実情が浮き彫りになり、
その問題に向かい合って考える機会ができます。
最初は大変ですが、少しずつ少しずつ変わっていけるでしょう。
ちゃんと問題に向き合えばね。
おわりに
休憩、勤務後、休日は全て自分のプライベートな時間です。
やむを得ない事情で職場の指示で残業し、正当な手当てを受けるならまだしも、
何の対価もなく、自主的にプライベートを削ってまで仕事をするのは美学でも何でもありません。
それをアテにして勤務の流れを組まれたらたまったものじゃないです。
ちなみに、上層部がそういう考えを持っている場合、ブラック事業所呼ばわりされかねません。
上層部の方、いま一度現場の状況がどうなっているのか、ぜひ調べてみてください。