とあるテレビ番組での発言が介護関係者の中で話題ですが、それに関連した内容を書きたいと思います。
① 食事拒否(食べない)する方は時間をかけて
根気よく行う。食べさせないのは虐待
→表面上の訴えだけを鵜呑みにして
「いらない?じゃあいいよね」
と、すぐに提供中止するのであれば考えものですが、
中には本当に食べたくない人もいます。
食べたくない人に無理矢理食べさせることも虐待といえるのではないでしょうか?
食べたくないという訴えが続くようなら、
- 味
- 食事形態
- 量
- 温度
- 体調
- 便秘
- 病気
- 環境
- 生活習慣(1日1食だったなど)
など、様々な視点から検証していく必要があります。
それに、食事介助対象者は複数いることが多く、自分で食べてる人も見守る必要があります。
その人だけに時間をかけすぎると、他の人に影響や、場合によってはリスクが発生することも考えられます。
その後の業務(誘導や排泄、入浴など)にも影響し、結果としてその人を含む多くの利用者の生活に支障が出てしまいます。
そういうわけにもいきません。
背景を探ろうとせず、すぐに食事を止めたり、逆にただ闇雲に時間をかけて食べて貰えばいいというわけではありません。
それが相手にとって負担になっている場合もあります。
日々の観察、記録を重ね、時間をかけて検証していくしかないのです。
②虐待を防ぐために研修の充実、アンガーマネジメント
→まず、虐待が起こる前にはその前兆
(不適切ケアなど)や、職場環境(いわゆるワンオペや対処しきれないナースコール、配置人数以上の多動者同時対応を迫られるなど)によるストレスなど
があります。
職員も人間なので、そんな環境が続けばたとえ一瞬でも気持ちに影響が出てきます。
そこを表面に出さないよう感情をコントロールできればいいのですが、なかなか難しいでしょう。
一瞬でも気分を害さないようにする
というのは。
そんな時は6秒ほどその場を離れるといった話もありますが、特にユニット型の場合、一人でフロアをみていることがほとんどです。
そんなことをしたら
- 見守りを怠ったと判断される
- 転倒などの別のリスク
などといった別の問題が出てきます。
簡単にできるものじゃないんです。
参考までに、私の場合は
「病気だから」
「何かしらの想いがあるけどそれを表現するこ
とが難しくなっているから」
「何かしらの介助が必要な人だから」
「勤務時間が終われば帰れるから」
という風に考えており、一瞬はムッとすることはありますが、その時だけでその後はすぐ冷静になれます。
ある意味、割り切っているのかもしれません。
職員が悪いといわんばかりの言い方でしたが、
知識不足、技術不足、理念の欠如などが果たして虐待の原因なのでしょうか?
誰しも虐待をしようと思って働いているわけではありません。
徐々に精神を蝕まれていき、感覚が麻痺し、何かの弾みで虐待が起こってしまうのです。
だから、研修をしたところで意味がないのです。
虐待はしてはいけないことは皆分かっています。
そこまで常識がない業界ではありません。
優しかった職員をそうさせてしまうような職場環境の見直しの方が先だと思います。
組織風土も関係していますね。
- 新人育成の段階から現場に丸投げしていないか。(きちんとした育成マニュアルがあるか)
- 意見を言えるような風通しの良さがあるか。
などですね。
もっと言えば配置基準も見直した方がいいと思いますが、これはそう簡単にできるものではないので…
どの現場でもそうですが、
その現場に携わってない人が理想を言うのは簡単です。
自分は関係ないですからね。(笑)
討論会などでは、両者の立場から意見が言える環境があるといいです。
特にテレビや新聞などでは人に与える影響が大きく、片方だけの意見しかないと、
あたかもその意見が無条件に正しいと思われかねません。
ただ、逆に考えれば、
「客観的な意見をもっている」
ともいえるので、
闇雲に批判するのもまた違うと思います。
何が介護業界にとって有益になるのか。
答えを出すのは難しいですが、
本を読んだりニュースを観たりしながら情報をアップデートし、考えていきたいですね。
(本音としては、現場を知らない有識者には、
「そこまでいうなら現場に入ってみて下さい」
て言いたい(笑)