闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

なるべく椅子に座ろう

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介護施設において、

車椅子に座っている人はほぼ必ずいると思います。

 

車椅子は福祉用具なので、必要な人に使うのは何ら問題ありません。

 

しかし大した理由もなく、

何となくADLが落ち気味だからなどで、

一日中車椅子に座らせていませんか?

 

 

そんな「座位」についての話です。

 

 

通常、我々が「座る」のは床以外なら椅子が多いと思います。

 

この「椅子」ですが、

座面はクッション、そして椅子をひっくり返すと木などの固い面があると思います。

 

これは、

裏の固い面でお尻全体を支えるためです。

 

仮にこれが、両面ともクッションだったりした場合どうでしょう。

 

お尻全体が支えられず、圧が一点に集中します。

 

お尻の痛み、腰の痛みにつながってきますね。

 

これが心身状態の衰えた高齢者ならどうでしょう。

 

我々のように無意識に姿勢を直したりできません。

その苦痛は想像以上でしょう。

 

 

こういう「座面両面が柔らかい素材の椅子」

が身近にありますよね。

 

そう、車椅子です。

 

車椅子は畳んで持ち運べるよう、座面がシート状になっています。

 

また、転落を防ぐため、やや座面に傾斜がついています。

 

本来は「移動ツール」のための車椅子に、クッションも何も敷かないで一日座って過ごしてみてください。

 

苦痛です。

 

そればかりか、圧が集中するため褥瘡などの皮膚トラブルを招き、

苦痛のため体をずらそうとし、滑り座りになりやすいです。

 

 

加えて、移動時に邪魔にならないよう、フットサポートは前にあります。

ここに長時間足を乗せていると膝にも負担がかかり、膝が突き出た形になるので膝が左右に倒れやすくなります。

 

とてもじゃないですけどリラックスはできません。

 

足底が地につかず、やや投げ出すような形になるため、ますますお尻にかかる圧は増えます。

 

そりゃそうですよね。

 

元々が移動のための道具なんだから。

 

 

なので、

ある程度座位や移乗が可能な人であれば、

 

椅子に座りかえたほうがいいです。

 

 

 

椅子に移ることで、滑り座りだった人がしっかり座れたり、

食事がしやすくなったりした人を多くみてきました。

 

お尻全体と両足と背もたれで体を支えるため、安定感が全く違います。

 

また、余談ですが車椅子より椅子に座って過ごしている人のほうが、

元気に見えます。

 

 

とはいっても、時間に追われ人もいないこの業界なので、それすら難しいという場合もあるでしょう。

 

また、普段自操する、もしくは目的がはっきりしているけど自操が不十分なんていう人は、

場合によっては車椅子の方が良いかもしれません。

 

もし車椅子で過ごす場合は、応急処置として、

 

座面にダンボールやプラスチックの板をしき、その上にクッションを敷く。

そして両足はフットサポートにのせず地面につける。

(難しい場合は足台などでサポートする)

背もたれが調整できるものであれば調整する

という手があります。

 

擬似的に椅子のつくりを再現するのです。

 

座面にそのまま座るより断然座り心地がいいです。

 

試してみてください。

 

ただし、椅子であろうと車椅子であろうと、

その人に合わせた調整がされていないと、安定した座位がとれず、かえって悪影響です。

 

椅子(車椅子)と体の間に隙間はできていませんか?

隙間ができていると体の傾きなどにつながり、認知症の方などは特にそれが思わぬ行動につながることがあります。

 

両足は床についていますか?

足が浮いていると当然姿勢は不安定になります。また、お尻や背中などに圧がかかりやすくなります。

 

円背の人などは更に細々した調整が必要です。

 

 

今はシーティングなどの資料も多く出回っています。

ただ座らせておけばいいというわけではありません。

 

離床してもらうつもりが、

不適切な座位環境のためにかえって臥床の時間が増えてしまったではシャレになりませんからね。