介護現場で、
「利用者の気持ちに寄り添った対応を」
「利用者の心境を考えて」
といった言葉を耳にすることがあると思います。
それは対人援助職として当たり前のことだし、
相手の気持ちを考えて行動する必要があると思います。
ところが、この
利用者の気持ち
を、都合良く利用している場面があります。
例えば、
「●●さん、トイレ行きたくないって行ってたから誘導しませんでした」
「●●さん、風呂入らないって言ったから入れませんでした」
なんてわかりやすいですかね。
ところがこれが、
「(イレギュラーな時間に)起こして欲しい」
「まだ起きて(寝て)いたい」
「(トイレ誘導対象外な人が)トイレに行きたい」
話が長い人
となると、
「利用者の訴えを鵜呑みにするな」
と他の職員に言われるわけです。
何が言いたいかというと、
職員にとって負担となるものや自分のやり方と異なる対応の場合は利用者の気持ちを理由にやりたがらない、もしくは否定する
ということです。
また、コミュニケーションが難しい利用者などは更にその傾向があります。
それを裏付けるように、介護現場に入らない管理職や他の職種は、現場にとって負担となるような内容でも、利用者の訴えをそのままこちらに依頼(指示)してきます。
確かに、利用者の訴え全てをそのまま鵜呑みにはできないこともあります。
上手く想いを伝えられない人もいます。
しかし、
利用者にとっては、
自身に起きたことが「事実・現実」なのです。
そりゃ訴えたくもなりますよね。
ニーズなのかデマンドなのか、
それは対象者と長く接していないとわからないし、
それでもわからないこともあります。
ただ、
「利用者の気持ちを考えて」
などと言うなら、状況によって態度を変えないで、
分析するなり話し合ったりするなりして、
その人が求めているものに少しでも近づけるよう考えていくのが務めだと思います。
好き嫌いや面倒さ楽さなどで都合よく
「利用者の気持ち」
を使い分けないで下さい。