利用者の中で、
部屋で一人で過ごすことが多い人
いるかと思います。
レクや行事などには参加しない
食事や入浴以外は部屋で過ごす
へたすると食事も部屋で食べる
等々…
そんな利用者に対して、
一人でいると無気力になる
起きて過ごさないと体力が落ちる
リハビリしないと歩けなくなる
他者との刺激がないと認知症状がすすむ
などという理由で、
なんとかフロアで過ごしてもらおう
と、色々と策を練ったり、チームで働きかけようとしたりするという場面があります。
病状や性格などにもよりますが、
本当にフロアで過ごしてもらうことが良いことでしょうか?
と私は思います。
自分の身内ならともかく、常に人の視線があるフロアで、しかもたまたま同じフロアになった赤の他人と顔を合わせ続けるのが本当に良いことなのでしょうか?
仮に他者との交流が好きだったとしても、それは友人知人などの気心の知れた人に限る場合がほとんどだと思います。
それに、対象者が寝たきりや認知症だったとしたら、自分のそんな状態を人に見られたいでしょうか?
そうでなくても、要介護状態で入所するレベルであれば、現役時代のような立ち振る舞いもできないでしょう。
そんな姿を人目にさらすということは場合によっては自尊心を傷つける可能性もあると思います。
下手すると事業所側の自己満足になってしまう可能性があります。
そうならないようにサービス利用の時点で生活歴や本人の性格、考え方、意向など、
そこまで調べられればいいですが、
数十年生きている歴史をたかだか数枚の書類やわずかな時間での面接や契約で把握するのも実際は難しいのが現状です。
時間をかけて少しずつ意向を聞き出したり、読み取ったりしていく他ないのではと思います。
そこに疑問を持たず、
部屋で一人で過ごすことが多いからと、
何かしらの理由をつけてフロアに出てもらって、
身内でも友人でもない人たちと過ごさせて、
「外部との刺激を受けている」
と、盲目的にみてしまわないようにしましょう。
実は本人とっては苦痛かもしれません。
介護の世界では、
「その人らしさ」
という言葉をよく耳にしますが、
だったら、その人の心身の状態やフロアに出てきた時の表情、様子などを時間をかけて観察し、
そのうえで、
「一人で過ごしたい」
(もしくは、そう思っている可能性がある)
のであれば、
それを尊重すべきでしょう。
部屋で一人で過ごすことが必ずしも、
無気力や廃用症候群等になるとは限りませんし、
それが不適切な対応とも思っていません。
(今までそういった人を沢山みてきました)
機能訓練が必要なら部屋でできるメニューもあるでしょう。
相手は人間なので意向を100%理解することは不可能に近いですが、
少しずつでも、その人の意向や生活スタイルを尊重した対応にしていきたいものです。