闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

好きで身体拘束をしたいわけじゃない

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身体拘束について先日テレビで放送されてましたね。

これについては様々な意見が出ているようです。

 

 

身体拘束については、原則禁止ですが、

 

緊急かつやむを得ない場合に限り、

 

「切迫性(利用者本人または他の利用者等の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと)」


「非代替性(身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がないこと)」


「一時性(身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること)」

 

の3つの要件を満たし、かつ、それらの要件の確認等の手続きが極めて慎重に実施されているケースのみ例外的に認められます。

 

ただし、簡単にそれを決めつけることはできず、

上記の3つの要件をすべて満たす状態であるかどうかを

「身体拘束予防委員会」
等の多職種の集まりで検討し、それを記録しておかなければなりません。

 

 

さらに、

緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録する必要もあります。

 

加えて、記録も、

身体拘束に関する説明書・経過観察記録を用いたうえで、

日々の心身の状態等の観察、身体拘束の必要性や方法に関わる再検討を行うごとに逐次その記録を行い、

その記録は職員間、施設・事業所全体、家族等の関係者の間で直近の情報を共有。(情報開示)

 

と、ここまで行う必要があります。

 

そして、

やむなく身体拘束を行わざるを得ない場合、本人、家族に、

その経緯と利用者の現状を説明し、同意を得なければなりません。

 

この際は、

いきなり、

「身体拘束しなければならないです」

と言われても家族は混乱したり、

「何言ってんだ!あんたら普段何してたんだ!」

などと反発を招くことがあるので、

普段から利用者の状態は伝えておくと良いかと思います。

 

 

次に、身体拘束となる行為についてです。

 

具体的に「身体拘束」となる定義は以下の11項目です。

 

①徘徊しないように、車いすやいす、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る


②転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る


③自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む


④点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る


⑤点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける


車いすやいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける


⑦立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する


⑧脱衣やおむつはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる


⑨他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る


⑩行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる


⑪自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する

 

センサーやスピーチロック(定義が曖昧ですが)は、

身体拘束ではなく、必要不必要を除外して考えたら、

グレーゾーンもしくは不適切ケアといったところでしょうか。

 

 

 

介護現場に携わってる身として、私の想いを書きます。

 

身体拘束は、できることならしたくない。

事業所で知恵を絞り出して、ギリギリまで粘って、なるべく利用者にとって不快、不安になるようなことはしたくない。

でも、場合によっては、身体拘束をやらざるを得ない場合もある。

 

です。

 

ユマニチュードにしろ何にしろ、万能ではない。

それで介護抵抗が止む?

一概にそうともいえないでしょう。

 

だって当たり前でしょう。

利用者によって年齢も性別も環境も性格も病状も違うのだから。

 

そして対応する職員によっても印象がガラッと変わります。

 

こちらがいくら表現方法を工夫しても、病気などで脳の回路が壊れていては、通じません。

(もちろん、表現や気遣いなどを一工夫することで通じることもありますよ!)

 

 

家族に側についてもらうのもいいとは思います。

利用者からすれば、経緯はどうあれ家族と一緒に過ごせる時間が増えるわけだから。

(家族という認識が失われている場合は除く)

 

でもね、

 

拘束をされるほど目を離せない人です。

 

24時間片時も目を離さず、利用者の動き、特に手元を見ていることなんてできるのでしょうか。

 

チューブを抜いたり、自傷他傷行為は、

ほんの一瞬で行われます。

 

まして入所、入院中の様子を職員ほど把握しきれていない家族の付き添いとなれば、

そういった兆候を見極めるのも難しいでしょう。

 

ある程度の予防にはなるかもしれませんが、

完全には防げないと思います。

 

 

 

施設も病院も少人数の職員で利用者、患者全員をみています。

 

ひとりに手がとられれば他の大勢の人のケアに支障が出る場合もあるし、利用者本人、他利用者、職員が危険にさらされることもあるのです。

 

 

 

好きで身体拘束をしたいわけじゃないのです。

冒頭にあげた複雑な手順を行なってでも身体拘束を行わないと、利用者本人や他者の健康、場合によっては生命に影響がでるのです。

 

対応がめんどくさいから身体拘束をしているわけではありません。

最後の最後の手段です。

 

 

 

介護や医療現場に関わっていなくて、そういった現場を見ないで、

綺麗事や正論ならいくらでも言えます。

 

いくら言っても、責めても、自分には関係ないし、責任をとるわけじゃないですからね。

 

テレビなどで報道されている現場の一部分だけをみて、現場のイメージを決めつけないでください。

 

 

また、テレビやネットで、

 

「●●のような対応をすることで拘束せず過ごせた。なのに何で拘束をするんだ?意識が低い」

 

というような意見を目にすることがありますが、

 

それは、

アナタの事業所の環境、職員の人柄や能力、

アナタが対応した利用者の状態など、

それら全ての相性が合ったからです。

 

同じ対応をとったとしても、

利用者が違えば通じない場合もありますし、

職場のハード面、ソフト面から、同じ対応をとれない場合もあります。

 

自分の事業所が全てではありません。

押し付けの意見は要らぬ論争を生みます。

 

「参考に…」「一例として…」

という形で紹介したほうが情報交換や気づきにつながって、良いと思います。

 

こういったケースの場合、

利用者の数だけ、職員の数だけ、

検討、対応があるのですから。

 

 

 

昨今は自衛隊にしろ鉄道会社にしろ、ささいなことで責められることが多く思えます。

 

ツールが発達して匿名でガンガンものが言えて、特定もされないからでしょうか…

 

 

本当に相手に物申したいなら、自分の素性を明らかにして、発言に責任を持つくらいはするべきだと私は思います。

 

安全圏で思いついたことを垂れ流すだけなら楽でいいですよね。

 

最後にちょっと話がそれましたね。失礼しました。