介護現場(特に施設)で、
オムツゼロを掲げる事業所は多いです。
オムツに排泄することで、
プライドを傷つける
「俺(私)もここまでになったか…」という落ち込み
排泄したオムツをしばらく当ててることによる皮膚トラブル
などの弊害が出てきます。
これだけだと確かに、オムツに抵抗感があると思います。
しかし、だからといって声高々に
「当事業所はオムツはしません!」
となってしまうと、
漏れによる着替えが多発、それによる利用者の精神的ショック
(排泄アセスメントをしても、排泄時間はランダムなので完全には防げない)
トイレを気にして活動に参加しない
トイレを気にして水分をとらない
トイレを気にして眠れない
といった弊害が出てきます。
どちらにしても、メリットとデメリットが出てきます。
これ、両極端なんですよ。
何で全員一律でオムツ、全員一律でオムツゼロっていう考えになるのか。
オムツを使えばトイレを気にせず活動に参加できます。(失禁の不快感はあるけど)
布パンツであれば排泄面で心理的抵抗はほとんどないでしょう(自由にトイレに行ける環境があって、漏らさない限りは)
こういう考えだから、
トイレに行ける人でもオムツにする
立たない、座れない人を数人がかりでトイレに座らせる
といったことが起こるんですよ。
何で全員一律で対応を決めようとするのか。
私はオムツもパンツも、どちらが良くてどちらが悪いかという考えはありません。
種類が違うだけだと思っています。
なので、
その人に適した排泄用具を使えばいいだけの話だと思っています。
尿便意の有無、立位や座位の可否、自分の意思で排尿排便できる認知面、筋力の評価など…
これらを観察し、トイレに行ける人はトイレに、
そうでない人はオムツにすればいいんです。
あと、
失禁の状態も見極めが必要です。
腹圧性…腹圧時に生じる失禁。尿道括約筋そのものが弱いもの。咳やくしゃみ、立ち上がった際等に漏れやすい。骨盤庭筋訓練で効果があるといわれている。
溢流性…何らかの拍子に漏れてしまうもの。前立腺肥大や子宮筋腫など、尿道に抵抗があるもの。尿意がはっきりせず、排尿までに時間がかかり、残尿感もある。薬での治療や、残尿そのものへの対処、関連疾病の対応が効果があるとされている。
切迫性…トイレに間に合わずに漏れてしまうもの。排尿筋の無抑制収縮、頻尿、膀胱炎などが原因といわれている。切迫感があり、尿意を感じてからすぐ漏れてしまったり、下着を降ろしている途中で漏れたりする。薬での治療や膀胱訓練が効果があるとされている。
機能性…認知面やADL低下によるもの。
こんな感じで失禁の種類があります。
ここを見極めれば、どの部分にアプローチしていけば良いかが見えてきます。
間に合わないなら移動介助、
無意識に漏れているなら泌尿器科受診の検討…
などです。
これらを踏まえ、かつ利用者の意向や負担を考慮して、使う道具を決めていけば良いです。
また、出かける時はオムツを使うなど、場面や状況によってオムツとパンツを使い分けても良いでしょう。
「パンツじゃなきゃだめ!」
「オムツじゃなきゃだめ!」
というわけではないです。
あと補足ですが、デイやショートの利用者で、明らかにトイレに行ける状態なのにオムツを使う人が時々います。
この場合事業所の判断ですぐにパンツをすすめたり、トイレ誘導をしたりはしない方がいいです。
というのは、
サービス利用がない日は家族が家で利用者を見ているケースがほとんど。
家庭の限られた環境、家族の介護力では、ヘタにトイレに行かれるよりは、オムツ交換の方が負担は少ないです。
トイレを汚す、道中で転ぶなどの心配が出てきます。
この辺りはケアマネに報告しておくくらいで良いでしょう。
全員一律の対応は、利用者にとっても職員にとっても負担が大きいです。
パンツだオムツだと言う前に、
ひとりひとりをよく観察し、排泄のどの部分に支障が出ているかを調べる。
まずはここからだと思います。