闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

利用者って可愛いの?

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これまで介護現場に関わってきた中で、

利用者に対し

「カワイイ〜!」

て言う人を多く見ました。

 

 

また、冬の時期だとクリスマス行事、

夏になれば七夕行事などのイベントものがある時、

利用者に手作りのかぶりものをかぶせ、写真を撮って、

 

「わぁ、カワイイ〜!」

 

なんて言う場面も多いです。

 

 

こういう話を聞くたびに、いつも不思議に思うのです。

 以下に書いていきます。

 

 

利用者って可愛いんでしょうか?

「可愛い」という表現は、

どっちかというと好みの女性(男性目線ですが)、

子供やキャラクターなどに使う表現だと思います。

 

自分たちより年上の、しかも何十年の歴史を歩んできた高齢者に対して使う表現ではないと思います。

 

可愛いと言われやすい利用者

大抵「可愛い」と言われる利用者は、

認知症を持ってるだったり、自分好みのリアクションをしてくれる人だったりします。

 

利用者に「ちゃん付け」をしたり、

ニックネームで呼んだりするものもそうですが、それ自体がもう

 

「利用者を自分より目下に見ている」

 

という気がしてなりません。

 

 

家族からみた「可愛い」という表現について(私の場合)

仮に自分の親が入所したとして、本人の意向も調べずに、そこの職員に

 

「カワイイ〜!」

 

なんていじられたり、

 

コスプレまがいの格好をさせられていたらどう思いますか?

 

私だったら即苦情いれます。

「うちの親をバカにしてんなよ」と。

 

実際に身内が入院した時、担当職員にこれに近い対応をされたことがあり、ものすごく不快でした。

 

 

可愛いという表現は介護現場にふさわしいか

カワイイと言う表現、ちゃん付け、ニックネームなどは、親しみでも何でもないと思っています。

 

ただ馴れ馴れしいだけです。

 

利用者本人が「人を楽しませることが好き」

とか、ちゃん付けやニックネームで呼ぶことを望んでいるのであれば別かも知れませんが、

 

人相手の仕事で馴れ馴れしい態度はどうなんだろうと思います。

家族でも友人でもないのに。

 

また、過度に可愛いと思う場合、利用者の対応にあからさまな差が出たりしかねません。

 

 

①勝手に優先的な対応をする

可愛いという利用者はすなわち

「自分のお気に入りの利用者」

ともとれます。

 

それはつまり、無意識に他の利用者より優遇したり、優先的に対応したり、

下手すると過剰な介護につながるおそれがあります。

 

 

②可愛くない利用者の出現

可愛いという利用者がいればその分他の利用者の「可愛くない所」が目立ち、

 

その結果、

可愛くない利用者

が出てくることが予想されます。

 

そして可愛いと懇意にしている利用者に比べ、

対応の温度差

が出てきます。

 

自分の感情で対応の濃さを決めるなんて、専門職としてあってはなりません。

 

 

おわりに

利用者を可愛いと思うことが悪いとは思っていません。

時としてチャーミングな場面を見せたり、

普段ムスッとしている利用者がふとした時に見せた笑顔など、「可愛い」と思うことはあるでしょう。

 

ただ、「可愛い」という感情を仕事に持ち込んでしまうことを危惧しているのです。

 

可愛い可愛いと言って優先的に関わったり、

逆にだんだん態度が馴れ馴れしくなったりして、

特に後者の場合まずは言葉使いから乱れていきます。

 

言葉使い、態度が乱れれば、介助も徐々に乱れ、不適切ケアにつながります。

それがエスカレートすれば、無意識に行う虐待につながります。

 

必要以上にへりくだる必要はありませんが、

職員として締めるところは締めていく必要があると思います。

 

我々は利用者の家族でも友達でもありません。

お金をもらって働いている職員です。

 

きちんとした線引きは必要です。