闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

帰宅願望の背景を考える

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介護現場において職員を悩ませる

利用者の帰宅願望。

認知症などの病的な背景もありますが、

 

なぜ帰宅願望が起こるのか。

帰宅願望とどう向き合えばいいか。

 

利用者の帰宅願望の背景を考えてみたいと思います。

 

なぜ帰宅願望が起こるのか

よく思われるのが、

利用者がデイサービスや特養などにいるという認識がなく、

「いつの間にか連れてこられたから帰りたい」

というのがあります。

 

そして、

出口を探して動き回ったり、

介護拒否、抵抗が起こったり、

しまいには大声や暴力が起こったり。

 

そして職員は対応に追われる。

 

正直、利用者の性格によっては対応が難しく、

興奮や暴力が続くなら専門医を…という気持ちが頭をよぎるのもわかります。

 

何とかして話題をそらしたり、

一生懸命説得したり、

時にはウソをついてみたり。

 

これは他の利用者の対応や他の業務もあるため、そうせざるを得ないという理由もあります。

 

要するに「止めようとしている」わけです。

 

自分の意思を止められれば、余計その気持ちはヒートアップします。

職員同士の討論(ていうか論争…)をイメージするとわかりやすいかと思います。

相手に自分の気持ちをわかってもらおうと、更に口調が強くなるアレです。

 

また、帰宅願望そのものを

「家に帰りたい」

だけだと思われている場合もあります。

 

そうなると、そもそも話が通じません。

帰宅願望の背景は多岐にわたるのです。

 

家に帰るだけが帰宅願望の理由ではない

家に帰りたいというだけが帰宅願望ではないです。

何となくここから動きたい。

気分転換したい。

ここが面白くない。

利用者にとって不快何かがある。

トイレに行きたい。

眠い。

疲れた。

こうした様々な背景がありますが、利用者から言葉として出てくるのは

「帰ります」

ということが多いです。

 

だから、前述した

帰宅願望そのものを

「家に帰りたい」

だけだと思われているような思考だと、

見当違いの「声かけ」が起こる原因になり、

それは利用者の更なる帰宅願望となるかもしれません。

 

帰宅願望を止める必要はない

私は帰宅願望については、

「止める必要はない」

と思っています。

 

勿論、転倒の可能性や他利用者に悪影響となりかねない場合は別ですが。

 

利用者にもよりますが、急にフラーっと動き出すなら
、「おや、どうしました?」「何かお探しですか?」
みたいに声をかける程度です。
いきなり座らせないし質問攻めもしません。
それに毎回動いた瞬間声かけられるのもどうかなと思うので、
ちょっと様子を見てから声をかけるようにしています。

 

そうすることでそこから利用者の意向を読み取れる場合もあります。

 

場合によっては自分の部屋で一人で過ごしてもらったり、

フロアを一回りしたら落ち着いたということもありました。

 

こうした積み重ねで対応しています。

 

そもそも、動きたい、帰りたいんだから、

その気持ちは揺るがないでしょう。

 

私たちだって旅行や遊びや買い物に行って、

そこにずーっといるってことはないですよね。

「さーて、そろそろ帰るか!」

といった感じで帰るでしょう。

 

もしかしたら、帰宅願望に理由なんてないのかもしれません。

 

帰宅願望が起こらない環境は必要か?

「帰宅願望が起こるのはここが退屈だから。退屈させないような取り組みをするといい」

などといった意見を耳にしたことがあります。

 

これは、半分同意で半分賛同できないといったのが私の意見です。

 

前述したとおり、帰宅願望の理由は様々だということと、

どんなに活動を充実させても、どこかのタイミングで「やめ時」が出てくるからです。

 

どんなに魅力的な活動があったとしても、丸一日は無理でしょう。

私は音楽やゲームやスケボーやスノーボードが好きですが、

それを一日中やり続けるのはげんなりしますよ。

 

どっちかというと現場の負担(他の業務に支障がないレベル)にならない程度の活動と、

利用者がしっかり休める環境があれば良いんじゃないかなと思います。

大事なのは帰宅願望の背景を知るということ

帰宅願望そのものの対応も大事ですが、

(現場がまわらなくなるし…)

 

「●●さんはなぜそう感じているんだろう」

と考えていくことの方が大事だと思います。

 

「認知症だから帰宅願望がある」と、一緒くたにまとめたのでは、

いつまでたっても解決しないし、

利用者、職員共にストレスがかかるでしょう。

 

そのための「引き出し」は多く持つ必要があります。

知識は気づきにつながります。

 

夕方になると帰宅願望が出てくる

●●さんは主婦で、夕方からご飯の支度を始めていた

食事の支度を気にしてるのでは?

 

よくある事例ですが、知識と経験を重ねていくと、こういったことに気付くことができます。

 

 

超能力者ではないので人の心は読めませんが、

「ベストでなくてもベターな対応」

これに近づけていくことの方が現実的だと思います。

 

おわりに

介護の仕事は人間相手なので、

「●●すれば落ち着く」

「●●することが良いことだ」

というものはありません。

 

一人ひとりと向き合い、その人を知っていく必要があります。

そのためにケアプランというシステムがある。

 

介護保険制度の中での縛り、

人員配置的な縛りなど色々しがらみもありますが、

 

今ある環境の中でやっていくしかないのです。

 

知識と経験と気づきを武器に、

役所のお偉方に現実を突きつけてやりましょう(笑)

 

番外編:ブログ管理人のオススメ資料

①現場で使えるケアマネのリハビリ知識便利帖(田中義行)

タイトルに「リハビリ」と書いてありますが、普段の対応にも使えることがわかりやすく書かれています。

 

②ケアマネジャーの質問力(高室成幸)

「質問の仕方」がわかりやすく書かれており、利用者とのコミュニケーションに役立ちます。

 

参考にどうぞ。(画像クリックで購入もできます)

 

 

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