闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

他専門職に丸投げして終わりにするな

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介護の仕事をしている中で必ず必要なのが、

他専門職との連携

です。

 

食事面、姿勢、医療面などなど…

 

これらは介護職だけでの判断は難しいので、それぞれの専門職に繋ぐことになります。

 

その、他専門職に繋ぐときの注意点について書いていきます。

 

 

具体的な説明もせず、他専門職に丸投げするな

いちばん近くで利用者をみているにも関わらず、

具体的な状況や、どうして欲しいのかを他専門職に説明せず、

 

「●●さん、姿勢が崩れるから何とかしてください」

「●●さん、ムセが多いんで何とかしてください」

「●●さん、不穏なんで何とかしてください」

 

などといった物凄くわかりづらいオーダーをする職員がいます。

ていうか、「丸投げ」です。

 

他専門職は利用者と接する時間は限られています。

こういったオーダーをされてもわかりづらいし、きちんとした方向性を導き出せないばかりか、

確認作業が増えて効率が悪いです。

 

他の専門職は介護職ほど利用者と接していないし、業務の目的も違う

介護職は生活全般をサポートしています。

移乗とか、オムツ交換だけじゃないですよ。

事故がないように目を光らせる、

普段の何気ない会話、表情や口調のちょっとした変化などから中気持ちの変化を掴んだり、

テレビのチャンネル争いを仲裁したり(笑)

 

常に何かしらの場面で誰かが関わっているはずです。

 

で、他の職種はというと、それぞれの専門分野での関わりが主となります。

 

わかりやすいところで例を出すと、

看護師のバイタル測定や傷の処置、

機能訓練指導員の個別リハ、

管理栄養士の栄養アセスメント、

相談員・ケアマネの各種手続きや契約などがあります。

 

これらの業務はその特性上、介護職のように常に利用者の側でスタンバイしているものではなく、

その業務が必要な時に対応します。

 

なので、介護職に比べて利用者に関わる時間は少ないです。

 

「利用者をもっとよく見ろ」って?

 

そもそも介護職と業務内容が違うので、介護職と同じくらい時間をかけて利用者に接する場面はそうそうないし、そこまで必要としないでしょう。

 

利用者と直接接することだけが業務じゃないですよ。

薬の管理や書類作り、各種手続きなど、

事務所や医務室などで行う仕事だってあるんですよ。

 

繰り返しますが、全然業務の内容が違うんです。

 

他専門職がわかりやすいような説明を

介護職は利用者をいちばん近くでみています。

そのため、小さな変化にも気づきやすいです。

(逆に感覚が麻痺して気づかないこともありますが…)

 

他専門職は、それぞれの専門性から、利用者の変化に対し必要なアプローチを行います。

 

当然ですが、職種によって同じ案件でも視点、捉え方、考えが違います。

加えて、介護職に比べて利用者に関わる時間が少ないこともあり、情報不足では正確な判断ができません。

 

同じ「姿勢が悪い」でも、介護職と機能訓練指導員で捉え方が違ったり、

同じ「落ち着かない」でも介護職と看護師で捉え方が違ったりします。

 

だからこそ、正確な情報が必要です。

 

いつごろから、どのような心身状態の変化があるのか。それによりどのような影響が出ているのか。

これらを「客観的」に伝える必要があります。

 

介護職側が正確な情報を伝えないと、間違った判断をする可能性があるのです。

 

私の場合、こういった本でそれらを学んでます。⬇️

 

介護職としての視点・意見を添えること

利用者の状態を伝えるだけでは足りないと思います。

言うだけ言って後は丸投げでは他専門職も困ってしまいます。

 

専門職にどうしてほしいのか。

相談案件に対し介護として、●●のようなアプローチをした方がいいと思っているが意見を聞きたい。

 

などです。

 

介護職だって「専門職」です。

気づきはあるし意見のひとつふたつあるでしょう。

それを「言語化」して伝達するのです。

 

そうすることで共通認識となり、方向性がバラバラになることを防げるのではないでしょうか。

 

参考までに例をひとつ出します。

 

姿勢が悪い人に対して機能訓練指導員に相談

円背の利用者。車椅子に乗ると前傾になる。表情も固い。

 

「PTに何とかしてもらいましょう」という意見。

それに対し私はちょっと待ってくれと円背の特性を説明し、試しに車椅子の座面と背張りを調整。更にフットサポートの高さも調整し、きちんと両足がつくように調整。

「これ車椅子が合ってないだけなんじゃないですか?」

と提案。

 

で、調整前と後の姿勢をPTに見てもらい、いつごろから起こっているのか、そして顔が下を向いているため食事に影響が出ていること、

もう少し顔を上に向ければ食事もしやすくなること、

シーティングが何もできていないため、調整してみたけど意見ありますか?

 

て感じで相談。

 

対してPTは、「それならちょうど●●さんに適した車椅子があるからそっち使いましょう」

と車椅子変更し、円背だけど背中全体を支えられるように調整し、安楽な姿勢作りに繋がった。

 

といった事例がありました。

 

ただ、

「姿勢が悪いからPTに何とかしてもらいましょう」

だけで済まさず、介護職としての意見を伝えたつもりです。

(ちなみに余談ですが、工具やダンボール、プラ板使ってガッチガチに調整したため、「介護職がやる調整じゃない…」と言われました(笑)

 

おわりに

私たちの仕事は様々な専門職と連携をとりながら行なっています。

 

考え方や認識は違って当然です。

 

自分たちの常識を押し付けることのないよう、

他専門職に敬意や気配りをすることで、

より利用者に良いケアを行うことができるのではないでしょうか。