闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

簡単に他部署に介護業務を手伝ってもらって大丈夫?

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介護現場は人がいないとよく言われます。

(というか、なんらかの介助が必要な利用者が多いともいえますが)

 

特に人手が欲しい場面は、

入浴介助

食事介助

排泄介助

レク

 

あたりでしょうか。

 

ここに更に、突然の欠勤や利用者の受診などで更に人手が減ることもあります。

 

こんな時どうするか?

 

どうやったってその日いる人数で何とかしなきゃならないので、

看護、相談員、ケアマネ等に介護業務を手伝ってもらったりすることはありませんか?

 

でも、それを打診する前にちょっと考えてみましょう。

 

 

他職種に介護業務を手伝ってもらうとかえって大変になる

看護、ケアマネ、相談員、機能訓練指導員あたりが業務協力の打診を受けやすいでしょうか。

 

これらの専門職は、各業務の「専任」が多いです。

基本的な介護スキルや知識は持っているでしょうが、普段は介護業務に携わっていません。

 

ということは、介護業務、利用者対応に慣れていない職員が協力として来るわけです。

その現場におけるそれぞれの利用者の介助のコツ、時間配分、考えられるリスクなどの理解が介護職と比べて薄いし、

介護職のマニュアルの周知もされていないでしょう。

 

利用者からみても、あまり見かけない、介助に不慣れな職員が来るわけです。

いつもと違う反応があるかもしれません。

 

なので場合によっては、協力を要請するほうがかえって大変だったりします。

 

シーン別に少し見てみましょう。

 

他部署が手伝うことでかえって現場が大変になる事例

①食事介助

利用者の姿勢、声の掛け方、介助のタイミング、気をつけるポイントなど…

これらを十分理解(説明)がないまま介助に入ることになります。

 

なのでかえって介助に時間がかかり、

中途半端な状態でタイムアップになる

コツがわからず「食べない」と切り上げてられてしまう

介助に時間がかかりすぎてしまいその後の介護業務(口腔ケア、移乗、排泄など)に支障が出てしまう

 

などの問題が出てきます。

 

②入浴介助

利用者は裸のため、介助時の力がダイレクトに利用者に伝わります。

移乗ひとつとっても気を使わなければなりません。

 

介護に慣れてる介護職員ですら、浴室での事故に遭遇するのです。

利用者は予期せぬ動きをすることがあり、浴槽への移動や爪切りなどの場面で思わぬ怪我をさせてしまうことがあります。

 

また、特に認知症の人なんかは、利用者への浴室への誘い方の工夫も必要です。

言葉一つで入浴拒否になったりするので。

 

介護職員であればある程度予測してそれらを未然に防ぐことができることもありますが、普段介護に関わらない他の職種がいきなり入浴介助を手伝っても、そういった利用者の動きを予測できなかったりします。

 

結局はそこにいる介護職員がそのフォローに奔走することになります。

 

③フロア見守り

見守り=フロアにいるだけではありません。

トイレなどの急な要望に対応し、

訴えが多い利用者をうまく対応し、

認知症などで危険予測が難しい人の行動を観察、事故につながるような行動(急な立ち上がりなど)を予測し先回りの対応をし、

それらをしつつフロア全体をみて、

なおかつその後の業務に支障がないような時間配分でこなさなければなりません。

 

普段介護現場に携わっていない他職種は、

訴えが多い利用者に付きっきりだったり、

ひとつの事柄に意識が向きすぎて利用者の行動を見落としたりすることがあります。

 

時には、

「●●さんがいない!」なんてことになる場合も。

 

居合わせた介護職員は、フロア業務、利用者の動きとともに、

協力に入った職員に対しても気を配る必要が出てきます。

 

なぜ他の職種が手伝うと介護現場が大変になるのか

手伝いをお願いするにあたり、相手職員に対しその業務及び利用者についての説明をしなければなりません。

それも十分説明する準備も時間もない状態で。

 

また、手伝ってくれる他の部署の職員は介護業務に不慣れのため、そのフォローが必要になります。

 

うまく業務が回らないのは介護側の説明不足ともとれますが、

そもそも利用者の基本情報に加え、日々の介護業務で積み重ね集められた情報、

更には現場で培われた細かな「コツ」もあります。

 

そういった膨大な情報を一言二言で説明しきれないし、

仮にできたとしても相手の職員は覚えきれないでしょう。

 

結局は後からフォローに入ったり、遅れた業務を取り戻すために奔走したりすることになります。

 

でもこれは当然ともいえます。

 

だって介護職員じゃないから。

 

介護と兼務でもない限り、軽く説明しただけで介護職員と同じ動きをできるわけないんです。

 

そこを責めるのは筋違いってもんです。

 

実例に基づく他部署に協力を依頼する時に注意するポイント

他部署に協力を依頼するような状況にならないようにするのが一番ですが、

なかなか難しい場合もあります。

(簡単に人は入ってこないし、入ってきたとしても育成に時間がかかるし)

 

なので、私が過去に行っていた対応を紹介します。

 

①ADL情報の作成

利用者のADLや精神面、認知症状などを書き、それに対する介助内容を書きます。

 

これを定期的(3ヶ月くらい)に更新します。

 

そしてパソコンに入れ、どの部署からでもそれを見れるようにし、必要なら印刷し配布します。

 

これはプラン作成やカンファレンスなどでもそのまま使える情報となるので、

介護職員ほどとまではいかないけど、情報共有ができます。

 

②協力を依頼する時間の指定及び臨時マニュアルの作成

「●●時〜△△時の間、協力をお願いしたい。

業務内容は□□(送迎など)」

と、なるべく具体的に相手部署に伝え、なおかつ業務の説明書きを渡します。

新人用のマニュアルが大体あるはずなので、それを渡せば良いし、必要に応じて加筆して臨時マニュアルとすれば良いです。

 

これをすることで、

「人によって言ってることが違う」

 

といったトラブルを防げます。

 

③協力依頼する窓口の一本化

役職や部署長などの職員が、他部署に協力を依頼するかどうかの必要性の判断をし、必要となれば依頼します。

 

これを定めておかないと、現場職員それぞれの判断で勝手に協力を依頼したりするので。

 

おわりに

他の部署はそれぞれ自分たちの仕事があります。

どの部署だって仕事は大変です。

介護だけが大変じゃないんです。

その自分たちの仕事の時間を割いてまで協力にきてくれるのです。

 

であればその職員が困らないよう、できる限り環境を整えておくのが最低限の礼儀、マナーだと思います。

 

ロクに説明もしないで仕事を手伝わせて、

「あの人全然仕事できない」

 

なんていう身勝手極まりない発言をブッ放した人も過去にいました。

 

いらぬ摩擦を作らないようにしましょう。