介護現場ではしばしば、
利用者に寄り添う
という言葉が使われます。
一見耳障りが良く、場面を問わず介護現場では使いやすい言葉に思えます。
しかしこの「寄り添う」とは、
具体的に何をさすのかを考えたことがありますか?
「寄り添う」って?
しばしば介護職に対して、
「もっと利用者に寄り添って」
「寄り添った介護を」
などという言葉を聞くし、実際に言われたこともあります。
でもこの言葉、具体性があるようでないように思えます。
具体的に何を求めているのか?
具体的に何をするのか?
ここの部分が伝わってこないのです。
実際、ここを指摘してみると、
「優しくする」
「常に側にいる」
「要望に応える」
など、バラバラの答えでした。
ということは、言う側と聞く側で捉え方が異なるということです。
これは非常に危険だと思います。
人によって解釈が違う危うさ
この「寄り添う」という言葉、人それぞれで解釈が違えば、
人それぞれの「寄り添う」介護をすることになります。
ということは、利用者が求めているものとかけ離れた対応や、
職員指導時に解釈違いのことをすることになります。
ケアの標準化がはかれません。
更には、
「寄り添った対応をと言ったのに何で違うことしてるの?」
「私、寄り添った対応してるのに何で怒られるの?」
といった要らぬ摩擦を生むことにもなります。
誰が悪いとかじゃありません。
具体性のない言葉のため、言葉が一人歩きしてるといえるのです。
具体性のある言葉を
人によって解釈が違ってしまうような言葉より、
具体性のある言葉で伝えた方が良いです。
その方が結果的に解釈違いや間違いを防ぎ、ケアの標準化がはかれる。
言葉で飾る必要はないと思っています。
普段の関わりこそが「寄り添い」
そもそも「寄り添い」は、職員は毎日やっています。
それは、日々のケアそのものです。
ケアマネはアセスメントのもと、その人のケアプランを作ります。
介護職員はケアプランに沿った対応を行っています。
医療職はその人ごとに診察、薬の処方、医療処置。
管理栄養士はその人の栄養アセスメントからの食事検討。
ね。寄り添ってますよね?
ネットなどを見てると言葉が一人歩きしてたり、
研修などでは寄り添い寄り添いと連呼されたりしていますが、
毎日寄り添ってるんですよ。
それでもなお「寄り添いましょう」と、
具体性のない言葉を連呼されるから混乱するんです。
あえて「具体的に寄り添うとは?」と言うのなら、
私は「アセスメント」と答えるでしょう。
その人の生活歴、現在の生活、心身状態などからニーズを導き出し、
そのニーズに合わせたプランを作り、そのプランを行うために様々なサービス等に繋げていく。
具体的に言うならこれかなと思います。
おわりに
介護現場、特にネットやビジネス系の発信者などはよくこうした言葉を使いがちですが、
耳障りの良いだけの具体性のない言葉で飾る必要はないと思います。
個々の解釈に委ねられるような表現は現場の混乱を招きます。
普段の職員同士のコミュニケーションでもそうですが、
シンプルかつ具体的に説明した方が絶対良いです。
日本語は本当に難しいのですから。
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