闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

介護施設で地震が来たらどう動くべきか?

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昨夜、大きな地震がありました。

私の生活地域もかなり揺れましたが、幸いにも被害は出ていないようです。

 

まだまだ余談を許さない状況ですが、注意しながら生活していきたいところです。

 

さて、地震についてですが、

特養などの介護施設で大きい地震があった際、

どう動いていきますか?

 

恐らくは、避難訓練もあり、地震発生時のガイドラインのようなものがあるかと思うので、

それに沿って動いていくことだろうと思います。

 

当然ですが動き方は事業所によって全く違いますが、

介護関係者の中で「どう動くべきか」で意見が割れることがしばしばあります。

 

私自身も私が勤めていた事業所も大地震を経験していることもあり、

このことについて私見を述べたいと思います。

 

 

大地震が起こった際の職員の動き

ほとんどが、勤務している職員が利用者の安全を確保した後、指定された手順に沿って避難を開始。

避難完了後に被害状況を確認…

といったところでしょうか。

 

ここにプラスして、

休日の職員や管理職、役職が出勤して対応する場合もあるでしょう。

 

それぞれの事業所でそういったマニュアルがあり、

避難訓練も定期的に行なっているはずなので、

それに沿っての動きになると思います。

 

地震などの際の職員の動き方

キチンとした事業所であれば、地震などの際、

休日の職員はどうするか?というのが決められていると思います。

 

リーダーや役職などの職員が連絡を入れる。

リーダーや役職が出勤する。

全職員が出勤する

休日の職員は出勤しなくて良い…

など。

 

また、これらの取り決めも、被害状況によって細かく決められているでしょう。

 

基本的には事業所の決まりに沿って動くことになるかと思います。

 

例として私が勤めていた施設の取り決めを紹介します。

 

その施設は、

地震の震度によって職員の動きが決まっていて、
例えば震度5以上なら役職は出勤、
震度7以上なら全員出勤といった感じになっていました。

 

それを踏まえての避難訓練も行っていました。

 

内容としては、

勤務者が利用者を外に逃がし、

休日職員は施設に入らず(二次被害を防ぐため)、

逃した利用者を更に安全な場所へ移動させたり、

体調観察や被害状況確認。

各ユニット・フロアの責任者が状況をまとめ、管理者に報告…

 

といった感じです。

 

勤務者の動き、休日出勤者の動きも明確になっており、

わかりやすかったです。

 

ここまで具体的に動きが示されており、そのための訓練を行っていたため、災害の際の混乱はほとんどありませんでした。

 

休日の職員は施設に駆けつけなければならないのか?

ここで私が気になったのは、

「休日の職員は施設に駆けつけなければならないのか?」

という点です。

 

ネットなどを見てみると、

「自分や家族、家がどんな状況にあろうと、職場にかけつけなければならない」

 

という所もあるようです。

 

私はこれには意を唱えます。

 

自分や家族に何があっても施設を優先する…。

一見聞こえはいいかもしれませんが、

 

それは「自分と家族の安全が確保されてから」という大前提があってこそではないでしょうか?
自分が動けないのに出勤できるわけがない。

 

そもそも避難が必要なくらいの大災害であれば、

施設より一般家屋の方が被害は深刻です。

 

自分が、家族が怪我をするかもしれない。

倒壊した家を放っておくと火災が起きるかもしれない。

子供がいる職員は?高齢者がいる職員は?

 

それらを放ってまで、施設での対応を優先させる。

それが果たして福祉に関わる事業所のあるべき姿なのでしょうか?

 

前述した私の例は、確かに休日職員の出勤について決まりはありましたが、

 

「自分と家族の安全が確保されてから」

 

という大前提がありました。

 

当然のことだと思います。

 

休日の職員を全員出勤させることの弊害

具体的な動きの取り決めもなく闇雲に全員出勤なんてした場合、

指揮系統もうまくいかずにかえって現場が混乱します。

 

右往左往する職員、個々の主観や判断でバラバラに動く職員…

 

こういう状況になると、救助どころか2次被害を引き起こします。

 

状況を把握している者、指揮をとる者がいて、

 

「じゃあ私●●ユニットに向かいます!」

「●●ユニット、避難完了しました!」

 

など、お互い声をかけあっていかないと避難に支障が出ます。

闇雲に休日職員全員呼んだ結果、勝手に動いた職員が施設に残っていることに気づかず、逃げ遅れるという可能性もあります。


状況によっては出勤職員だけで対応できるし、役職者数名が一時的にフォローに来るだけで大丈夫なこともある。

 

それこそ、休日職員は数名にして、外に逃した利用者の対応にあたった方がスムーズだと思います。

 

役割のない無駄な人手は

「百人力」どころか、
「烏合の衆」

とも言えます。

 

指揮系統のない無駄な人手が集まった事例

地震とは話が違いますが、無駄に人数だけが集まったことによる事例を紹介します。

 

ある日利用者が窒息騒ぎを起こした時、職員が10人くらい集まって来たことがありました。

しかし、実際に対応するのは数名。

残りの人は見てるだけだったり、勝手に焦ったり。

その場にいた数人で役割をパッと決め、指揮者がいればスムーズに事は運んだのに、

周りの人達が勝手に焦って騒ぎ出し、実際に対応にあたった職員も焦ってしまい対応が遅れました。

 

結果として利用者は助かり、幸い酸素不足によるダメージなども残りませんでしたが、 

いくら人数が多くても役割も無くただ見ていたり、

一人で焦って空気を乱すくらいなら、いない方がよっぽどスムーズだと痛感しました。

 

事前に地震や災害時の対応を決めておく

あらかじめ勤務職員、休日職員の動きを決めておき、そのように訓練にも組み込むことが大事です。

 

休日の職員を呼ぶならどんな状況になったら何人呼ぶのか。

勤務職員、休日職員の役割、動き方をどうするか。

災害時に使う道具の確認とメンテナンス。

 

これ以外にもまだまだあると思います。

 

「とりあえず集めた」大人数で適切な動きができるのか、疑問に思います。

 

それと、善意や使命感などから

「自主的に手伝いに来る」職員もいますが、

取り決めや特段の指示がない限りはこれもやめた方がいいと思います。

 

周りの職員が

「私も行かなければならない」

といった空気を引き起こしたり、

 

自主的に手伝いに行った職員が、

「私は手伝いに行ってるのに他の人は来ない!」

といった不満になるからです。

 

こういうのも事前にある程度取り決めておけば、不要な職員間の溝も防げます。

 

おわりに

休日でも出勤するのが悪いと言ってるのではなく、

「出勤・休みに限らず役割を決めて動く」

ことが大事なのです。

 

また、こういう仕事をしていると職場や利用者の心配をすると気持ちもわかりますが、

それも自分や家族の安全が確保されればこそ。

 

無理して施設や利用者のために被災した自分や家族を犠牲にする必要はないと思います。

 

職場がひと段落して家に戻り、変わり果てた姿の自宅や家族を目の当たりにした時、

きっと自分を責めると思います。

 

アナタに何かあった時、心配する人がいるんですよ。

 

使命感も結構ですが、もっと自分を大事にしてください。