闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

介護現場での「臨機応変」の言葉がはらむ危険性

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介護現場で、

 

「そこは臨機応変に動いてね」

「言われたことだけじゃなくて、臨機応変に動かなきゃ」

 

というようなことを言われたりしたことはないでしょうか?

 

この「臨機応変」て言葉、使い勝手が良くて多用されることがありますが、

私は危険性があると考えています。

 

 

臨機応変という言葉の不安定さ

臨機応変という言葉の意味は、

その場のなりゆきに応じて、適切な手段をとったり対応を変えたりすること。融通がきくこと。(学研 四字熟語辞典)

です。

 

これを介護現場に当てはめると、

「その日の職員体制、利用者の状態、業務の進捗状況などに応じて、適切な対応や手段をとっていく」

といった感じになるでしょうか。

 

この「適切な対応」の捉え方が人によって違い、

「適切」の基準も職員に委ねられているのが問題なのです。

 

職員それぞれが思う「臨機応変

管理者・役職・リーダー・一般職、更には新人とベテランの違いなど。

立場が違えば臨機応変の基準も違います。

 

そこに更に、

「仕事のどの部分に重きをおくか」

が人によって違います。

 

Aさんが思う臨機応変と、Bさんが思う臨機応変は違います。

 

それぞれが思う「臨機応変」で動くと、現場は混乱し、利用者にも不利益となるでしょう。

 

少し例を出してみます。

 

①利用者の気持ちを優先する人と業務を進めることを優先する人が混在する

職員それぞれが「臨機応変」に行動すると、

上記のような状況になりかねません。

 

例えば、

  1. Aさんは後々のことも考えて、利用者の精神面の安定、関係性の維持を優先して、できる限り利用者の意向に沿った対応をとった結果、業務全体としては遅れる。
  2. Bさんはとにかく業務を進めることを優先して、介助は雑で利用者の話もあまり聞かない。そして時には業務だからと強引な対応をとる。業務は滞りなく進むが利用者からは不満がでたり落ち着かなくなる利用者が出てくる。

 

どちらも確かに臨機応変に動いてるといえるでしょう。

 

しかし同じチーム内のためこれらの考えがぶつかり、職場内で不要な摩擦や陰口などが生まれ、働きにくくなったり、

利用者はその日によって介助のやり方や姿勢が全然違うといった状況になります。

 

②手を抜く職員が出てくる

臨機応変に動いてね」と言われた場合、自分の手間が増えるような仕事の仕方は選ばないでしょう。

 

実質判断を委ねられた状態で、監視する人もいない。

 

となると少なからず、

「楽をしよう」

という考えに陥りやすくなります。

(効率化とはまた違いますよ)

 

ちょっと手が止まったら食事介助をやめる。

ちょっと立ち上がりが悪かったらトイレ誘導しない。

ちょっと嫌そうなリアクションをされたら入浴中止する。

 

一手間かければできたかもしれないのに。

 

臨機応変という名の「丸投げ」をされる

人がいなかったり、時間がなかったりと、毎日ギリギリの状態な介護現場は少なくありません。

 

そこに認知症の利用者、拘縮が強い利用者など、様々が利用者がいます。

 

正直、キャパオーバーだと思うことも多々あります。

 

「もっと人がいれば」

「もっと時間があれば」

て思います。

 

考えて考えて、それでも答えは出なくて。

そこで会議などで上司に相談すると、

 

「そこはさあ、臨機応変に動いてよ」

 

なんて言われるんです。(実話です)

 

事業所として、上司としての方向性も何も提示せず、相談者に丸投げです。

 

これでは何も解決しないばかりか先程例にあげた①、②のような弊害を助長することになりかねません。

 

で、いざ臨機応変に動くと注意されたりするんですよ。

(そういう人、結構いるんじゃないでしょうか)

 

新人に対してそれを言ってたら指導とはいえません。

 

何のための上司なんでしょうか。

 

 

なぜ臨機応変に動けないのか

なぜ、本来の「臨機応変」のように動けないのでしょうか。

 

私は、

 

業務においてある程度の方向性や目標地点が定まっていないから

 

なんだと思っています。

だから考えも行動もバラバラになる。

 

目標を定めたうえで、それを遂行する際のプロセスを「臨機応変」に動くなら、

筋は通っているでしょう。

 

 

臨機応変と言う前にゴールを定める

臨機応変に動くには、

「チームとしての目標や目的・ゴール」

や、

「利用者のニーズはどこか(ケアプラン見ろって話だけど)」

 

を、まずキチンと定めておく必要があると思います。

 

目標がキチンとしてれば、後はその時の状況次第で動けるし、

ゴールがハッキリしていれば臨機応変に動いても、そこまでズレた行動はとらないと思います。

 

利用者へのケアの工夫もそうです。

「この人には何が必要か」を共通認識しておけば、

闇雲に手を出したり、逆に手を出さなすぎたりといったこともなくなるでしょう。

 

言ってしまえば、冒頭にあげたような弊害は、

 

職員も何を目標に行動したらいいかがわからないから

 

なのかもしれません。

 

 

おわりに

臨機応変という言葉は使いやすいがために多用しがちですが、そのための基礎を作ってないと結果として利用者にも職員にも不利益をもたらしかねません。

 

臨機応変に動いてるつもりがかえって仕事しにくくなっていた…とならないよう、

気をつけていく必要があると思います。