闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

介護現場での食事介助の葛藤

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介護施設、特に特養のような介護度が高い利用者を介助しているようなところは、

食事介助の悩みはつきものだと思います。

 

限られた時間・限られた職員数の中で、多くの利用者の介助を求められる。

 

でも認知症やADLの低下などでなかなか介助がすすまない。

 

泣く泣く介助を途中で切り上げた…なんて方もいるのではないでしょうか。

でもそれが続くと食事量が上がらず体力も落ちる…。

 

介護現場の悩みのひとつだと思います。

 

そんな悩みと葛藤を紹介しつつ、できる限りの着地点を見つけられればと思います。

 

食事介助は時間がかかる

食事をするために必要なことは、ものすごくシンプルに表現すると、

・食事を食事だと認識する

・食事を口に入れ、噛む

・食事を飲み込む

これらが必要になってきます。

 

だから食事を認識しやすくなる声かけや環境作り、

食事を口にし、飲み込みやすい姿勢作りなどが必要になってくるわけです。

 

でもこれをしても、食事スピードそのものが劇的に速くなるということはあまり期待はしない方がいいです。

「安全安心に食事をする」ための準備といったところでしょうか。

 

食事スピードを上げる取り組み

もともと食べるペースが遅い人もいます。

また介護施設とは「介護が必要な人達」が利用するわけです。

当然、体力なども低下しており、更にスピードは遅いでしょう。

 

そういう意味では、「スピードを上げる」という目標は難しいといえるし、

下手をすると誤嚥や窒息のモトにもなります。

 

人手がいれば食事介助は進むのか

では人手があれば食事介助がスムーズにいくのかというと、必ずしもそうではありません。

 

人手があればそれだけ多くの利用者の介助に入れるので、そういう意味では早く終わるかもしれません。

 

でも、先程も書きましたが利用者は介護が必要な人であり、

ましてや全介助ともなれば認知機能や身体機能が衰えていることがほとんどです。

 

なので一人あたりの食事スピードが遅くなりがちなのは変わらないです。

 

勿論、人手は少ないよりは多い方がいいですけどね。

 

食事を途中で切り上げることの是非

人手もなく時間もかかる。利用者も体力がない。

なんていうことも多いと思います。

 

利用者の体力やその後の業務のことも考えると、

途中で食事を切り上げるという方法も仕方がない場合もあります。

 

食事を食べれる体力がなければ、食べれるもの食べれないですから。 

 

でもここには注意点があります。

職員都合になっていないかということです。

職員は一人で多くの利用者を同時に対応する必要があります。

 

そのため後の業務のことを考え、それが職員・もっと言うとその職員の介護観によって、

利用者からみれば

「半ば強制的に食事を下げられた」

ということに陥りやすくなります。

 

「食べれないこともあるよね」

という意識がいつしか、

「この人はそんなに食べれない人」

という意識になってしまいます。

しっかりアセスメントしたうえであればこの限りではありませんが。

 

要は、職員の自己判断によって食事を下げられたりする可能性があるということです。

 

食事介助を切り上げることのリスク

体力がなかったり時間がかかるなどの理由で全部食べれず、途中で食事を下げてしまうことが続くと、

本来必要でとるべき栄養がとれなくなり、やがてそれは数値にも表れてきます。

 

身体に影響があるので、ますます食べれなくなっていき…の負のループとなります。

こうなってくるとフォローがとても難しくなります。

点滴などの方法もありますが、できれば食事を美味しく食べつつ、

しっかり栄養も水分もとってほしいところです。

 

介護現場の葛藤

冒頭で書いた通り、

食事をしっかり食べてほしいけど、様々な心身の事情から食べるのが遅くなる。

遅くなる事でそれだけ体力を使うし、その後の業務・他の利用者の対応にも支障が出る。

 

かといって毎回毎回食事を途中で切り上げていたら、

体力も落ち必要栄養はとれず、

この時期なら脱水にもなりかねない。

 

あっちをとればこっちに支障が出る…。

出口が見えないようなものです。

 

答えがあるなら知りたいくらいですね。

 

介護現場でできること

時間も人員も限られている以上、そこにある環境で何とかやっていかなければなりません。

 

提供量が多くないか。必要栄養素は適した数値か。

血液検査結果はどうか。

利用者の好みを把握し、できる限り好みに合ったものを提供できるか。

食事の姿勢は適切か。食事を認識しやすい環境か等…。

 

他職種を交えてじっくり検討する必要があります。

 

そのうえで、例えばメニューを変更して栄養補助食品を導入して体力の負担を減らす。

食事開始時間をずらす。

 

などの対応ができます。

 

「これをすれば万事解決!」

なんていう魔法のようなやり方は残念ながらないのです。

 

常日頃から利用者の様子を見て、他職種と情報共有していく必要があります。

 

おわりに

食事介助をとりまく課題はなかなか解決できません。

情報を集め、少しずつやれることをやるくらいしか現状はできないのかなと思います。

 

無理をして介助をすることで、食事そのものが苦痛になってもいけないし、

かといって簡単に切り上げて栄養がとれなくなるのも問題です。

 

もしいい案があれば皆で共有したいです。

 

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