闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

介護施設での利用者の私物の買い物は誰が対応するべき?

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特養などの介護施設、場合によってはショートステイの長期利用者の私物やおやつなど、必要時に用意するものがあると思います。

 

特養では特に、

担当利用者の化粧水

担当利用者のおやつ

担当利用者の歯ブラシ

担当利用者のひげそりの替刃など、

 

多岐にわたると思います。

 

で、これらは当然買ってくるなりして用意する必要がありますが、

こういう場合、誰が買ってくるんでしょうか?

 

そこで介護施設での利用者の買い物について、

私の考えを書いてみようと思います。

 

 

介護施設の利用者の買い物は誰がするべきか

できるできないを考えないで言えば、

本人もしくは家族が購入して用意するのがいちばん良いと思います。

 

お金が絡むものだし、買い間違いのリスクもある。

言った言わないでトラブルになったり、

利用者の認識と職員の認識が違う場合もある。

 

だったら本人もしくは家族が購入して用意すればいちばん安心かと思います。

 

が、現実は理想通りにいきません。

特に施設においては。

 

それを説明していきます。

 

本人が自分で買い物をするだけの心身状態ではない

特養などは特に、要介護度が高い人が多く、

話せるけど体は動かない人、

会話もままならない人、

寝たきりで意思疎通ができない人、

認知症などで意向確認が難しい人など、

様々な人がいます。

 

でも、だからといって日用品や消耗品、おやつなどを中止していいわけではないですよね。

 

本人の生活習慣を大事にするのであれば、

そこはできる限り配慮していきたいものです。

 

でも現実として、

本人が自分の意思で自由に買い物ができる状態ではないケースが多いのです。

 

職員付き添いで介助しながら買い物にいくケースもありますが、

それも買い物に行ける体力と身体機能があってこそ。

 

しかも現場は人手がギリギリで、好きな時に好きなタイミングで買い物にお付き合いができない場合が多いです。

 

事前に予定決めれば多少対応可能かもしれませんが、

それでも限界はあります。

 

家族が非協力的

利用者の中には家族との関係性があまり良くなく、

こうした消耗品の補充を行ってくれない家族もいます。

中には衣類がボロボロなのに補充や入れ替えもされない利用者もいました。

 

こうした背景は様々な事情が絡んでいたりするので、

一概に「家族が悪い!」などと否定をするつもりはありません。

 

ただ、

衣類や消耗品の補充や購入をしてくれない場合、

日頃の介護業務にも影響され、

やむなく施設からの持ち出し…なんていうこともあります。

 

それは本人にも施設にとっても良くないです。

 

その部分の理解はしていただきたいものです。

 

独居で家族がいない

離別や死別などで元々独居だった人であったり、

一人暮らしで家族が遠方に住んでいる場合などのケースがあります。

 

中には後見人が親身になってくれ、そうした買い物のサポートをしてくれることもありますが、

全部が全部そうとは限りません。

 

後見人と相談しながら対応を決めていきたいところです。

 

施設職員が買い物に行っている現状

私がこの記事でいちばん訴えたく、皆さんに注意を促したいのはここです。

 

前述したような本人、家族の都合などの事情があれば、そこは勿論配慮が必要だと思います。

 

しかし中には、

当たり前のように施設側に買い物を頼むケースや、

そもそも買い物についての取り決めすらしておらず、

職員が買ってきた方が早いこともあり、職員が買いに行くのが常態化している場合があります。

 

いいんですよ、買ってくるのは。

 

でも、

 

突発的な買い物の希望に対して、

勤務中に買い物にいけるくらい人員や環境(社用車など)に余裕がある事業所が果たしてどれくらいあるでしょうか。

 

勤務中に買い物に行けず休日などに買いに行かざるを得ない状況が常態化している

現実として、日々の勤務で現場はギリギリ。

そしてどうしても

「目の前の仕事が最優先!」

といった空気になりやすくなります。

(だから記録などが軽視されがちになる)

 

ちょっとでも業務に余裕ができるならオムツ交換に行ったり、

食事介助に入りたくなる気持ちもわかります。

 

とてもじゃないが買い物に行く余裕なんてない。

 

そして事業所のある地域や利用者から依頼された物によっては、

近くに該当するお店がなかったりします。

 

ではどうしてるか?

 

職員が自分の休日にわざわざ買いに出かけるんです。

 

しかも何故か、

利用者家族はともかく周りの職員や上司、他の部署の職員などに

 

「介護職員が休みに買いに行くのが当たり前」

と思われてるんです。

 

「担当利用者だから」

「介護は利用者の希望に対応しなければならないから」

「勤務中に行けないなら休みに行くしかないよね」

 

などといった理由で。

 

これっておかしいですよね。

で、なかなか買いに行かないと周りから文句言われるんですよ。

 

冗談じゃない。

 

そもそも、「担当」するのは介護職員だけじゃないですよね。

様々な職種がそれぞれの専門性を活かし、

利用者の生活を支えているはずです。

別に誰が行ったっていいんです。

 

何故介護職員だけが自分の休みを使って行かなければならないのでしょう。

 

買い物についての取り決めをしておく

そうはいっても、

家族の協力が難しく、勤務中に買いに行く余裕はない。

 

なので、買い物についてのルールを定めておくことをオススメします。

 

私の体験と周りの同業者の体験をもとに例を挙げると、

 

①できれば入所時の契約の際に買い物は家族に依頼する。

協力が難しければ、宅配やネット通販などの手続きをしてもらう。

(施設としては、モノが利用者のもとに届けばいいので)

 

②やむを得ず職員が買いに行く場合、

職種を問わず「買い物に行く日」を決め、その日に一括で買いに行く。

 

③相談員やケアマネなど、外出の機会がある職種に外出時に買ってきてもらうよう取り決めを行う。

(外出のルートに該当する店がない場合は対応しない)

 

などがあります。

 

ただ一律に「できません」ではなく、

家族と施設双方ができるだけ負担のない買い物方法を家族と一緒に考え、提案していくことが大事です。

 

おわりに

職員が自分のプライベートを犠牲にしてまで利用者の対応をする必要はありません。

 

そういうことを押し付けてくる事業所は、

こうしたことの積み重ねにより、いずれ職員は去っていくでしょう。

 

「プロ」というのは、仕事とプライベートをきっちり分けるものなのです。