闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

「好きなものを食べて死ねるなら本望」と果たして言えるのか?

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介護の世界で、

「好きなものを食べて詰まって死んでも、そっちの方が幸せ」

「好きなことをして、それが元で死ぬなら本望」

などといった考えを持ち、それを良しとするような風潮もあります。

 

一見美談にも思えますが、介護の現場に携わってる身としては、少し思うところがあります。

 

果たして本当にそうなのだろうか?と。

 

それを詳しく書いていこうと思います。

 

最期まで好きなことをして生涯を終えることができるのか

冒頭に出した例は、未だ一部で管理的というイメージを持たれている施設介護に対しての問題提起なのか、

それとも既存の施設介護を下げ、自分達を上げているのか。

 

いずれにしても人様の人生を預かる立場としては、

よくよく考えて行動する必要があります。

 

看取り期を経験していない人たち

基本的に、何かを主張したり取り組みをしたりしている人たちは元気な人であり、

要介護者や看取り期ではありません。

 

なので、上記の方達の置かれた心境というのはわからないでしょう。

 

例に出すと、

「最期まで好きな物を食べる」

「最期までしたいことをする」

「最期まで行きたいところに行く」

などでしょうか。

 

これらは一見美談ともとれますが、よく考えてみてください。

 

死が間近に迫るくらいの心身状態の時や具合が悪い時に、

好きなもの食べたいですか?

どこか行きたいですか?

 

自分がインフルエンザや、最近ではコロナウイルスなのでダウンした時のことをイメージしてみてください。

 

元気な時と同じ物食べれますか?

出かけたいですか?

趣味活動したいですか?

 

結局、自分達が元気だから

「好きなものを食べて死にたい」

とか言えるんじゃないでしょうか。

 

それは裏を返せば、

「最期まで好きな物食べたいよね?ね?」

「看取り期でも行きたいところに行きたいよね?ね?」

ていう「押し付け」にもなりかねません。

 

実際に利用者本人が具合が悪かったり看取り期だったりしても、そうしたいのであれば話は別ですが。

 

本当のところは、

「その状態になってみないとわからない」

のかなと思います。

 

だからこそ普段から本人や家族等とコミュニケーションをとっていく必要があるのだと思います。

 

利用者の状態に合った対応を

一般的には、具合が悪い時はお粥などの消化の良いものや、

ジュースよりはスポーツドリンクや白湯などを口にすることが多いでしょう。

 

何も具合が悪い時や看取り期でも元気な時と同じ対応をする必要はないと思うし、

何より利用者本人も楽しめないと思います。

どっちかというと

「難儀だから休んでいたい」

ていう方が多いのではないでしょうか。

 

利用者自身がそれでも良いと言うなら話は別ですが。

 

好きなことを楽しめる時に楽しもう

メディアは特に、

「看取り期の人でも●●を食べた」

「看取り期の人が▲▲に行った」

などと発信し、それが美談と捉えられることがあります。

 

全部が全部を否定するわけではありませんが、

「だったら元気な時に好きな物を食べられる時に食べてもらって、行きたい所にも行けばいいんじゃない?」

って思います。

 

何でわざわざ具合が悪い時に元気な時と同じ取り組みをするのか。

何でその時になってようやくメディアが取り上げるのか。

 

それで中には、

「施設は何もさせてもらえない」

「管理的な生活だ」

なんて言ったりするんですよ。

 

利用者の意向を尊重のうえ、

好きなことを楽しめる心身状態の時に行って、

具合が悪い時は休んだり誰かに側にいてもらう。

 

その方がいいのではと思います。

 

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おわりに…看取り期になってから

具合が悪い時や看取り期になってあれこれするよりは、

元気な時に食べ物なり活動なりを思い切り楽しめる環境づくりを行い、本人にとって少しでも悔いが残らない生涯を送れるよう支援した方が良いのではないでしょうか。

具合が悪かったら休む。もしくは体調に応じた案に切り替える。

 

勿論本人、家族などと話し合ったうえで。

 

看取り期で食べ物関係や活動関係をするのは一見美談に見えるしメディア受けもするでしょうが、

表面だけを真似て取り組もうとすると後で反動がきます。

 

その時難儀な想いをするのは利用者です。

 

そこのところをよく考え、話し合いを重ねていき、

少しでも本人にとって最良の選択になるよう支援していったほうが良いのではと思います。

 

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