闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

「物を盗られた」と言う利用者について考える

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認知症の人で、いわゆる

 

物盗られ妄想

 

のある人がいます。

 

 

私も何人も見てきました。

 

 

こっちは何もしてない。

それどころか仕事とはいえ一生懸命支援をしているのに突然、

 

「あんたが私の●●持ってったんでしょ!」

 

なんて言われる。

 

 

あれ切ないですよね…

時にはムッとくることもあると思います。

 

 

 

この、「物盗られ妄想」を、認知症の人の心理と合わせて考えてみたいと思います。

 

 

その前にまず最初に。

 

アナタがいつも持ち歩いてる、もしくは部屋にいつも置いている物を思い浮かべて下さい。

 

バッグ、財布、ケータイ、CD、上着、何でもいいです。

 

 

それらの物は自分以外は基本的に誰もいじりませんよね。

 

 

それがある日突然無くなったらどうでしょう。

 

特にバッグや財布などの貴重品類。

 

 

多少は探したりするでしょうが、

 

「自分以外は私物をいじるはずないのにどうして?」

「私はきちんと片付けたのに…まさか、一緒に住んでる家族が持ってった(もしくはどこかにやった)んじゃ…?」

 

ってちょっとでも思ったりしませんか?

 

 

自分が無くした、もしくはどこに置いたか忘れたと思っていなければ、

一緒に住んでる誰かを疑うのは、ある意味当然なのかなと思います。

 

自分以外は家族しか部屋に入りませんからね。

 

 

通常なら、

「アンタまた変なとこ置いて忘れたんでしょ?」

「そっかー、もうちょっと探してみるわ」

 

となりますが、

 

 

認知症となれば話は別です。

 

 

知っての通り認知症には、 

 

記憶障害

 

があります。

 

 

その時は大事なものだとタンスの中や布団の下などにしまいますが、

 

それをそのまま忘れます。

 

 

記憶「障害」なので、

「片付けたけどどこに置いたか忘れた」

などの断片的に覚えているわけではなく、

 

片付けたということそのものを綺麗さっぱり忘れます。

記憶がないんです。本当に。

 

 

なので、

その人からすれば、

 

そういう事実なんかない

 

ことになります。

 

 

で、ふとした時にその「無くした物」を思い出す。

その物を置いていた場所の記憶はいつも定位置に置いて管理していたころの場所。

 

認知症のため今までとは違う、ちょっと変わった場所に置いていることなんてわからない。

 

 

「自分はきちんと片付けた。でもいつもの場所にない。泥棒なんか入ってこないから、後は家族くらいしか私の物を触らない。だとしたら家族が持ってったんじゃ…」

 

という心理につながるわけです。

 

 

だから、

 

「嫁がお金を持ってった」

 

と訴える利用者が多いわけです。

 

昔は同居の息子の妻が主介護者の場合が多かったから。

 

 

 

で、これを施設に当てはめると、

 

普段介助や掃除、リネン交換などで頻繁に出入りする職員が真っ先に疑われるわけです。

 

記憶障害に加え思い込みも強くなっているので、本当に大変です。

 

 

更に一番大変なのが、 

 

「職員が私の財布を盗った」と、

 

施設の上層部に訴え、それを上層部が鵜呑みにして職員を疑い、ひどい時は処分をするパターン。

 

最悪ですよね。

 

利用者のことをわかろうとしてないし、

何の解決にもなっていない。

 

アンタたちの目は何を見てるんだ?と思いたくもなります。

 

 

 

私は施設の経験が長いので、施設での対応を書きます。

 

 

大体、無くなった物は我々の予想の遥か斜め上の場所から見つかったりします。

 

なので、捜索時のひらめきが大事になってきます。

 

ゲームで宝箱やレアアイテムを探すと思って(笑)

 

 

あとは、訴えがあったときの記録。

 

利用者の発言を出来る限り忠実に記録します。

 

 

職員の動きや利用者のADL表などは各施設にあると思うので割愛。

 

 

無くなったら物が見つかるまでは利用者は納得しないと思いますが、

とりあえずここまで用意しておけば万が一職員が上司な家族などに疑われても意見できるだけの証明にはなるでしょう。

 

 

それと、訴えがあったらなるべく早く、

一緒に探す(最悪、フリでもいいです)

 

そして、

「見つからないね。また後で探しましょうか」等の声かけで

できるだけ安心させてあげることです。

 

 

他の利用者をみながら、

他の業務をしながらの対応というのは大変ですが、

 

後で落ち着かなくなったりするよりはマシです。

 

 

 

物盗られ妄想に限らず、記憶障害は本当に大変です。

 

本人も、介護者も。

 

 

過去に認知症についてブログ書いたこともありますが、

 

動作の「抜け落ちた場所」をいち早く把握し、

その部分のアプローチが重要になってきます。

 

 

ゲームで認知症を考える↓

https://www.kaigobilly69.net/entry/2020/01/21/002904

 

認知症を「特別なもの」と捉えてる?↓

https://www.kaigobilly69.net/entry/2020/01/17/122422

 

認知症の利用者の暴力暴言についての考察↓

https://www.kaigobilly69.net/entry/2019/08/13/155409

 

食事に手をつけない人の対応方法一例↓

https://www.kaigobilly69.net/entry/2019/11/05/135445

 

 

 

他にもいくつかありますが、こんな感じです。

 

何かの参考になればいいなと思います。