認知症を持つ人の世界を、ゲームに当てはめて考えてみます。
ふざけてるように見えるかもですが、大真面目です。
あなたは、初めて見るゲームを手にしました。
ハードもソフトも初めて見るものですが、ゲームということはわかります。
スイッチ類はどこか悪戦苦闘しながら、どうにかゲームを起動。
コントローラーを手にしました。
ところがこのゲーム、何のゲームかわかりません。
そもそも操作方法もわかりません。
初めて見るものなので。
こんな時、どうしますか?
とりあえず、昔ゲームをやっていた記憶を基に、コントローラーをいじってみると思います。
アクションゲームならこのボタンはジャンプだろう。
シューティングゲームならこのボタンはショットだろう。
などと。
これを認知症の事例に当てはめてみます。
①廊下で排泄する…
「おしっこがしたい。場所がわからない。あそこの隅ならいいかな。よく路肩で立ちションしてるし。」
②おしぼりを口にする…
「お腹が空いたな。ちょうどいいところに何かある。白くて、丸まってて…。ああ、チクワだな。よし食べよう。」
③夕方になるとソワソワ落ち着かなくなる…
「そろそろ夕方だな。ご飯を作らないと。子供も学校から帰ってくるし。はて…どう行けば帰れるんだろう」
何のこっちゃと思いましたか?ちょっと解説します。
①の事例は、尿意を感じ、トイレにいかなければならないこと、排尿動作は分かっています。
場所がわからないのです。
過去の記憶(尿意、トイレに行く、排泄をする)を頼りに、自分の中でベターな判断をしたわけです。
②の事例は、空腹を自覚しており、食べるという動作はわかっています。
目の前のものを食べ物と誤認したのです。
これも過去の記憶(空腹の自覚、何かを手に取り食べる)を頼りに、自分の中でベターな判断をしています。
続いて③の事例。
夕方というものの自覚、時間をみて自分のとるべき行動の自覚、家に向かって歩き出すという動作はわかっています。
今自分が置かれている状況(現在は自分にその役割がないこと)、家の状況、自分の能力(ADL)の理解を失っているのです。
初めて体験する出来事に対しては、
過去の記憶を頼りに、その時で最もベターな方法をとります。
だからゲームではコントローラーを操作したり、
認知症であれば何かしらの行動をとるわけです。
先に挙げたゲームだって、第三者からみれば、
「メチャクチャにゲームをいじっている」
ように見えるかもしれません。
これが認知症だと、
第三者から見れば、
異食
弄便
徘徊
と捉えられてしまいます。
当の本人からすればたまったもんじゃないですね。
ゲームは操作がわかればできます。
認知症も似たようなもの。
今までにも何度か書いていますが、
それぞれの動作の「どの部分の記憶を失っているのか」
を見つけ出すのがカギです。
その部分を補うことで、できない、わからないと思われていた動作ができるようになることもあります。
実際に私はそれで、食事を拒否する人に食事をたべてもらったり、立てないと思われていた人をトイレ誘導できたりしました。
食事の事例↓
https://www.kaigobilly69.net/entry/2019/11/05/135445
トイレの事例↓
https://www.kaigobilly69.net/entry/2019/09/22/023131
「●●さん、認知症状進んだよね。わからなくなったよね」
と言う前に、
声かけや環境のひと工夫で、まだまだイケるかもしれませんよ。