介護施設に入所するということは、
それまで送ってきた生活からガラリと違う生活になります。
その場合、多くは
今まで自由にしていたことができなくなる
自分のペースで過ごしにくくなる
施設の日課に合わせざるをえなくなる
など、いわゆる
「管理された生活・制限のかかる生活」
になりがちです。
例えば、
- 食事の時間が決まっている
- 入浴の曜日や時間が決まっている
- 病気を理由に食べたいものが食べれない
- 見守りという理由で常に職員の目がある
- 日課がある程度決まっており、それに合わせて起こされる(寝かされる)
などがあるでしょうか。
これだけみると窮屈な生活に思えます。
これらの中には、
事業所や各場所の工夫で何とかできるものもあるかもしれませんが、
利用者の状態やニーズは人によって違います。
100人入所しているとしたら、
100通りの心身状態、生活習慣、ニーズがあるわけです。
例えば食事ひとつとっても、
時間
量
メニュー
場所
など、それぞれ違います。
これだけでも全員の要望を完璧に対応するのは難しいのに、
ここに更に、
各種規定、事業所の日課、勤務形態などが重なってきます。
こういった現状では、
どうしても拾いきれない(対応できない)
ニーズが出てきます。
限られた時間、人員の中で、
誰かに重点的に対応すればその間他の誰かの要望が満たせないという場面がどうしても出てくるのです。
それでもそういった中で、
ベストとは言えないがベターな対応をとっている結果が今の現状
といえるのではないでしょうか。
少なくとも、
健康管理
栄養管理
安全管理
レスパイト
バリアフリー環境
などは行えているわけです。
仮に何かあったとしても、大抵はその後のフォローもしてくれます。
(というか人間相手なので「絶対大丈夫」というのはないですけどね)
介護者(主に家族)ができなくなったことを
代わりに行う
これはかなり強みだと思います。
反面、
先に挙げた「制限」が
現状の制度や環境では出てきてしまいます。
これを良しとするか良しとしないかは、
その人のおかれた状況や、
本人や家族、関係者の考え方などで変わってくるでしょう。
(「施設は姥捨て山」
などと未だに思っている人や、
「召使い付きの住まい」
などと思っている人もいますからね。)
(特に後者の場合はクレームになりやすいです。)
ただ、多くの場合は、
病気や加齢などで在宅生活が困難となり、施設入所を考えるようになります。(主に介護者が)
この時、施設という受け皿がなかったとしたら、
介護のために仕事を辞める
(経済的なダメージ)
24時間の介護のため心身が休まらない
(心身のダメージ)
家庭崩壊
など、(勿論これら以外にも沢山ありますが)
介護者へかかる負担は膨大なものになり、
自分の生活も満足に送れなくなります。
いつ終わるかわからないこの状況が続くとどうなるでしょう。
心身を蝕まれ、虐待につながります。
中には介護疲れにより家族を殺め、その後介護者自身も命を断とうとした事例もあります。
だからといって、
施設が
「世話してやってるんだ。我慢しろ」
と思っているわけではありません。
そこは勘違いしないで欲しいです。
多くの施設は、
置かれている状況・環境の中、少しでも利用者のニーズに応えようと頭も身体も使っています。
中には職員のプライベートを犠牲にすることも少なくありません。
(私もよくやりました)
今の制度や環境では、全員のニーズに完璧に応えることは難しいのです。
収入度外視で、職員を何人も雇えば可能かもしれませんが、
そんなことをすれば事業所の運営ができなくなりますね。
そのためどうしても、利用者には窮屈な思いをさせてしまっています。
しかし、
利用者の心身状態を踏まえ、少なくとも安全に生活するための支援は行えます。
個別ニーズは環境を整え、
できる人から少しずつ行っていけばいいのではないでしょうか。
在宅復帰は難しいけど一時帰宅ならできる
毎週外出は難しいけど月に一回程度ならできる
夕食のカロリー調整が必要になるけどそれで良いなら昼食で好きなものを食べても大丈夫
など。
…それじゃだめですかね?