介護施設では、
・管理者
・事務員
・ケアマネ
・相談員
・介護職
・看護職
・機能訓練指導員
・栄養士、調理師
など、様々な職種により運営されています。
それぞれが専門分野が違うので、当然考え方や業務内容は違いますが、その職種にしかない忙しさ、やり甲斐があります。
その専門性を発揮し、同じ理念のもと、業務に取り組むことが望ましいのですが…
各専門職がそれぞれの主張をしすぎて、職場全体の雰囲気が悪くなり、利用者の生活にも影響がでるという例をよく耳にします。
例をあげてみましょう。
〜事務職と介護職〜(ケアマネを例にします)
介護 「こっちは利用者の対応で手一杯。事務所の人はパソコンばかりしてて。時間あるならこっちの仕事を手伝って欲しい」
▽
ケアマネ「ケアプラン作るの大変なんだよ。何件もあるから終わらない。それに介護は皆でフォローできるけどケアマネは一人だからなおさらだよ。そのプランに必要な日々の記録、不十分なところがあるからこれだとわからない。もっと細かく記録をしてほしいし観察してほしい。最近の心身の状態や、先月に比べて変わったことはないの?」
▽
介護 「うちらは毎日見てるからわかるし、忙しいからそこまでできない。事務は現場にこないからわからないんだ。座ってばっかなんだから手伝いできる時間くらいあるでしょ?」
▽
ケアマネ 「介護に関わってないから急に言われても皆と同じ介護はできないし、そもそもそんな時間もないよ。」
▽
両者(あの部署なんなの!)
…いかがでしょうか。
かなり簡単にまとめたのですが、こういったやりとりを見聞きしたり実際にやっていたりという方、いるのではないでしょうか?
このケースは、お互いが相手のことを考えず、自分の部署の仕事をはかどらせるため、一方的に自分の都合だけを主張したり、
相手の場所を一方的に「仕事ができていない」と決めつけています。
また、
中には看護師・相談員・ケアマネは介護職より偉い
と、派手な勘違いをしている人も少なくありません。
介護現場で起こっている「目の前のこと」だけを見て、その経緯や背景などを聞こうともせずに、偉そうに「指示」してくる人もいます。
何様なんでしょうね。他所の部署に指示をする権利があるのでしょうか。
職種に上下関係はないし、看護師だろうと相談員だろうとケアマネだろうと介護職より偉いということはありません。
で、こういった状況が続くと、職種間の関係は悪化し話をしずらい「壁」ができます。
職場全体の雰囲気も悪くなり、パフォーマンスも落ちます。ひどいケースだとSNSに悪口を書いたり…ということもあります。
そしてそんな職場には居ずらいため、離職へとつながります。
それでいて、「人がいない…」と嘆くのです。
この悪循環をまず何とかしないと、人材も定着しないでしょう。
他部署の忙しさの度合いは自部署にはわかりません。
自部署のなかでは常識でも他部署ではそうとはかぎりません。
これらの対策として私はこう提案します。
①利用者の様子などを他部署に伝える時は家族に説明すると思って、詳しく説明する。
「いつもと違い…」ではなく、
「いつごろからどういった変化が起きている」などです。
②施設の決まりとして、どの部署がどんな業務をするかを明確にして文や図にしておく。できれば一月のスケジュールも明記しておく。
こうすることでそれぞれの部署の繁忙期と特に集中してしなければならない業務が把握できます。
なので、その時期をずらして話をすすめていけばいいですね。
③日頃の雑談の中で、「どの仕事にどれくらい時間がかかっているか」を言っておく。
要は根回しです。
この根回し、意外に効果があります。
ちなみに、施設で物品を購入してほしい場合も、
「今現在業務にどれくらい支障が出ていて、この物品を使用することでこのくらいの改善が見込める」
と説明すると良いです。
ただ、「物がないから」だけだと「ないなりに何とかして」「大事に使わないからだ」などと、真意が伝わらないこともありますので。
④それでもどうしようもなく各現場が回らない場合は、
「●時〜●時の間、●●の業務を手伝って欲しい」
と、その部署の長が他部署に依頼する
です。
要は、部署としての意見、依頼とするのです。
個人の感情での依頼なんじゃ…と思われずに済み、ある程度説得力ももてます。
依頼されるほうも、あらかじめ予定がわかっていれば調整もしやすいでしょう。
常についてまわる人間関係ですが、一人一人がそういった気遣いをすることで、快適な職場環境になると思います。
ここができていないところは働きづらくギスギスし、サービスにも影響をきたし、結果的に利用者に悪影響を及ぼします。
時間はかかりますが、それも人間関係なので・・・