利用者が過ごしている時、たたみ物や塗り絵をしていたりする光景があります。
職員の皆さんは、
何のためにこの活動をしてもらっていますか?
手持ち無沙汰だとか(利用者が何もせず座っていると上司に指摘されるとか)、これをしていると落ち着いているとか、そういう理由でただ何となくさせていないでしょうか?
そうだとすると、利用者は言われるままに何の生産性もない活動をどこまですればいいかもわからないままさせられ、
「やらされている」という感覚になってしまいます。
意思表示がはっきりしている人はクレームにつながり、気が弱い人は諦めの感情につながり、認知症状のある人はかえって落ち着かなくなることがあります。
とはいえ、日頃少ない人数でギリギリの状態で業務をまわしているので、利用者と職場環境の板挟みの中そうせざるを得ない状況もあります。
なので、せっかく活動ができる能力があるなら、施設の役に立てるようなものにしてみましょう。
たたみ物をであれば、利用者の洗濯物を。更に、名前を書いたカゴなどを用意して、そこにいれてもらえば部屋に戻したり着替えの準備も楽になるでしょう。
洗い物ができるならお茶のコップ洗いを。水洗いだけでもいいし拭くだけでもいいです。
料理の下ごしらえもいいですね。
字や絵が得意なら、家族あての年賀状や暑中見舞いを書いてもらう。
などなど。
手持ち無沙汰の解消、やり甲斐、施設の役に立つという、レバレッジが効いています。一石三鳥ですかね。
ただし、これらの活動を続けていくためにはいくつか注意点があります。
ひとつは、
・活動できる環境、物品、気配りを揃える。
活動しやすい状況を作らないと始まりません。
・テーブルの高さ、利用者が理解しやすいような説明書き(写真付きだとなお良し)
説明書き作成のワンポイントとして、
※人間、数字は1から順に目で追うという習慣を利用し、手順を番号順にする。
※それぞれの手順に、説明と図をつける。
ゲーマーの方はご存知かもしれませんが、ゲームのチュートリアル画面みたいな感じです。
手順番号+説明文+図の組み合わせで分かりやすさがだいぶ変わってきます。
もうひとつは、
・職員がものすごく困っており、「大変申し訳ないのですが…」という低姿勢でお願いし、終わったらオーバーリアクションでお礼をする。
です。
「洗濯の量が多すぎて、できれば少しお願いできるとありがたいんですけど…」
終わったら
「ホント助かりました!●●さんも、あの人頼りになってありがたく思ってる」て言ってましたよ!」
といった感じです。
実際に私も取り組んでいますが、作業終了後の利用者の表情が全然違いました。
ただし、いきなり「やって下さい」では、「何でそんなことしなきゃならんのだ。アンタ達がやればいい。不愉快だ、帰る!」
と、しなくていい帰宅欲求対応をする羽目になったりします。
声かけ、気配りの工夫で利用者の能力を発揮でき、なおかつ職員も助かる。
「こんなことができるんだ!」と、利用者の見方が変わるかもしれませんよ。