イチ介護職員の叫びとして読んで下さい。
介護事業所の中に、
利用者と料理や農作業、はたまた簡単な仕事などを行なっている所があります。
それ自体はとても素晴らしい事だと思います。
利用者が、
「私を必要としてくれている」
「生きがい、やりがい」
こういったモチベーションのアップにもつながることだと思います。
しかし数ある介護サービスや事業所の中でも、
メディアが取り上げ注目するのは、
前述した「活動的」な事業所ばかり。
そしてそれを素晴らしい介護と讃える。
中には、特養のような事業所形態を牢屋だの自由がないだの言ってる人もいました。
こうした記事などを目にすると、
物凄く引っかかるんですよ。
要介護度の高い利用者もいるという現実
介護事業所の中には特養のように、
寝たきりの利用者
拘縮が強く、どうやっても苦しそうな姿勢しかとれない利用者
重度の認知症でコミュニケーションもとれず、常時職員の付き添いやサポートが必要な利用者
病気を複数持っているなどし、離床が難しい利用者
いわゆる「重度」と呼ばれる人たちの生活を支えてる事業所もあります。
こうした利用者は、身体介護は勿論、医療的なサポートや栄養面でのサポートなどが軽度の利用者と比べて多くなってきます。
これらもれっきとした「介護現場」なんです。
メディア受けするようなリアクションはとれないかもしれない。
一見、3大介護しかしていないように見えるかもしれない。
でもさ、よく考えてみてくださいよ。
活動ができる利用者の「その後」は?
冒頭に挙げたいわゆる「活動的」な事業所。
そこで過ごす利用者も、加齢が進み病気の進行もあります。
そうした状態になった利用者はどうするんですか?
誰が生活を支えるんですか?
介護というのは、活動だけが全てじゃないんですよ。
利用者の心身状態、生活ニーズを調べてアセスメントを行い、
課題(ニーズ)達成のためのケアプランをたてますよね。
それは当然、人によってニーズはそれぞれ、サポートする内容もそれぞれです。
軽度の認知症などであれば、料理や家事、仕事などはとても良いと思うし、
私も実際にやったこともあります。
じゃあ、要介護度が高くなった人は?
まず心身の状態が軽度の人と違いますね。
数時間放っておいたら命の危機が心配されることも少なくありません。
必要なニーズも
拘縮の悪化を防ぐ
褥瘡を防ぐ
安楽な環境を作る
低栄養を防ぐ
などになってくることが多いです。
毎日を安楽に過ごせるよう気を配っている
寝たきりの人が安楽に過ごせるようポジショニングをする。
低栄養にならないように食事形態や量、福祉用具の使用などを検討して対応する。
コミュニケーションが少しでも取りやすいように声かけをシンプルにしたり、イラストやジェスチャーなどを組み込む。
褥瘡を作らないようにマットレスやクッションを整えたり、普段の介助に圧抜きなどのひと手間を加える。
特養などでは要介護度の高い利用者が少しでも安心、安楽に過ごせるような設備も整ってるし、介護の工夫も多いです。
そして、それを毎日繰り返しています。
地味に見えるかもしれない。
管理的に見えるかもしれない。
でも、こうした重度の利用者が毎日変わりない生活を送れている。
それってとても凄いことなんですよ。
それをするのにどれだけのサポートがあると思いますか?
介護現場を取材する人へ
メディアにお願いです。
介護というのは、様々な事業所、様々な形態があります。
それは、生活ニーズが細分化されているから。
それらのニーズに合わせた介護サービス、もしくはインフォーマルなサービスなどで利用者の生活を支えています。
○○さんはデイサービスはどうか?
▲▲さんはグループホームはどうか?
□□さんは特養はどうか?
全てアセスメント、プランニング、サービス提供、モニタリングを繰り返した結果です。
デイにはデイ、GHはGH、特養は特養と、それぞれその環境、サービスが必要な人たちがいる。
何度も繰り返しますが、デイサービスだろうと特養だろうと、
「利用者の心身状態、生活ニーズに合わせた介護サービスを提供している」
というだけです。
どっちが偉いとか、
どっちが新しいとか、
ましてや革新的だとか、
そんなことはないんです。
デイサービスの利用者にだけスポットを当てて、
「施設と違ってウチの利用者はこんなに活動的です!」
なんて言ったって、
「そもそも心身状態もニーズも違うじゃん。」
て思います。
言ってみれば、
ドラクエで「戦士と魔法使いを比較する」
モンハンで「剣士とガンナーを比較する
ロックマンで「特殊武器同士を比較する」
みたいなもんです。
デイサービスと特養、グループホームとショートステイなどの別形態の事業所同士をそもそも比較するものでもないし、
ましてや優劣などもありません。
どうせ介護現場を取材するなら、特養などの要介護度が高い利用者が多い事業所も来てみてください。
それぞれの現場で利用者の生き様があり、
そこで働く職員の生き様もあります。
きっと面白い取材になると思いますよ。
きっと新しい発見がありますよ。
ブログランキング参加中!クリックしてくれると張り合いが出ます!