闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

記録の書き方

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介護施設において、記録は必要不可欠です。

文章の上手い下手はさておき、必要なことが書いていないと、意味をなさないばかりか、トラブルにもつながりかねません。

 

今日はそんな「記録」について書いていきます。

 

記録をする時の注意点

①正確性

記録をする時に注意する点のひとつは、

「正確性」

です。

 

事実をありのままに書くことが大事です。そこには記録者の主観や予想などが入ってはいけません。

 

例えば、

「●●様が不穏になっている。トイレ誘導後落ち着く」

という内容があったとします。

 

まず、「不穏」という言葉そのものが不適切です。

どういう行動をとっているのかまるで読めません。

読めないということは対応策も考えられないということで、その人や状態に合わない対応を行うことにもなります。

実はトイレに行きたかっただけなのに、安定剤などの対応になってしまったら目もあてられませんね。

 

また、「不穏」という言葉は

「何だかわからないけどおちつかなくて面倒な状況」

という印象を与えてしまいます。

 

こういう場合は、

「●時より立ち上がり、歩き出しあり。表情は険しい。椅子に座ってもらうもすぐに同様の行動あり。トイレ誘導後表情和らぎ、自席でテレビを見ている」

 

などのほうがわかりやすいですね。

 

もうひとつ例を出します。

「●●様が怒っている」

という内容があったとします。

 

こちらは、「怒っている」というのは誰の視点なのか。

というのがあるし、その現場の状況や訴えの内容もわかりません。

 

こういう場合は、

「●●様が「あの野郎うるさい!」と大声を出しながら▲▲様の方を見ている。▲▲様を見ると、コップを何度もテーブルに打ち付けている。▲▲様に声かけし、いったんコップを預かる。その後は大声止み、自席でお茶を飲む」

 

などのほうがわかりやすいです。

 

その場で起こっている事実をそのまま書くことが大事です。

 

②客観性

次にもうひとつの「客観性」

についてです。

 

こちらも例を出します。

 

「風邪症状あり」

という内容があったとします。

 

まず、「風邪」というのはどこからのものなのか。医師からの診断があったのか、本人がそう言ったのか。

記録者がそう思いこんで書いている場合があります。

 

この場合、

「巡視時、咳と鼻水あり。「体がだるい」と本人より話あり」

 

といった表現の方が良いです。

 

特に医療との連携が必要な場合、どのような症状がいつごろから出ているのかがわからないと、有効な処置ができません。

これは認知症による周辺症状にもいえることですね。

 

客観性についてもうひとつ例を出します。

「歩行不安定」

という内容があったとします。

 

歩行不安定とはどういう場合でしょう?

ひとくちに歩行不安定といっても、それがどこからくるものなのかがわからないと対応につながりません。

ひどい場合は、「じゃあ車イスにしようか」

と、歩けるのに歩かせなくなることもあります。

 

この場合、

「起床後、トイレまで歩行を促すが、右膝をさすりながらゆっくり歩いており、膝折れもある。」

 

などと書いておけば、

・起きたばかりで覚醒しきっていない

・膝の痛みがある

などの予想ができ、その部分にアプローチすることができます。

 

少なくとも「もう歩けなくなってきてる」といった判断にはならないでしょう。

 

 

ここまで事例付きで「正確性」と「客観性」について書いてきました。

 

日常場面での記録の書き方

次に、日常生活場面の書きかたです。

 

ただ事務的に「●●を行う」「●●して過ごす」というだけでなく、

 

「介助の内容と、相手の反応」

まで書いてください。

 

 

これはケアプランに基づくケア内容が行えているかもそうですが、

 

「その内容が本人に合っているか。新たな課題となる要素は出てきていないか」

 

といった分析をするためです。

 

これはケアプランを作るにおいて非常に重要になってきます。

 

記録から状態を読み取り早い段階で変化に気づけば、プランの変更を行うことでスピーディーな対応につなげることができます。

本人の状態に合わないプランでは意味がないどころか不利益ですからね。

 

 

あとは、施設の対応を証明するためですね。

詳しければ詳しいほど、家族や第三者(有事が発生時)に説明しやすくなるし、文章として残っているので証拠になります。

逆に不十分だと不利になります。

「ちゃんとやっているけど記録がないだけ」

というのは

「ちゃんとやっていない」

とみなされます。

 

おわりに

書くのが大変で敬遠されがちな記録ですが、立派な業務のひとつです。

おろそかになってはなりません。

 

それと、記録に「丁寧語」を用いていることもありますが、

その事業所の決まりでもない限りは、そこまでする必要はないと思います。

手紙じゃないわけだし。

 

かえって記録にへりくだった表現があると、変に忖度してるように捉えられるかもしれません。

 

あくまでも「記録」ですからね。

 

 

いずれにしても、誰が見てもわかりやすい正確な記録を残す事が必要なのです。