介護施設は、年に何回か研修・勉強会があります。
身体拘束・虐待防止研修など、
基準で決まっている内容のものやスキルアップのために自主的に行うものなど、内容は様々です。
どんなキャリアがあったとしても、新人や異動職員は配属されたばかりの時期は「新人」です。
施設の理念、ルール、業務マニュアル・法定基準等を研修で教えて周知させないと、
まともに動けないし事故にもつながります。
また、新人や異動職員は配属先の内情はほとんど何もわからないので、こういった研修や上司、先輩の指導、説明が頼りです。
(中堅〜ベテランであっても、容体急変対応や感染予防など、繰り返して研修を行わないといざという時に動けません。)
なので、指導、講師役がここをしっかりやらないと人は育ちません。
それどころか、
「よくわからないから黙っていて、後で苦労する」
「わかっている前提で話をされ、話が通じないので(きちんと説明されてないから)「あの人は仕事ができない」と捉えられてしまう」
「モチベーションの低下→離職」
「個々の判断で動くことによるチームワークの崩壊」
「不適切ケア・事故」
等、本人にとっても施設にとってもいいことは全くありません。
しかし、こういったケースがよくあるのです。
そもそも、
「研修のやり方がわからない」
「指導方法がわからない」
と、肝心の研修・指導担当がそのやり方を指導されていないのです。
わからないので、当日使う資料をネットで引っ張るだけで、その内容すらも熟知しておらず、結果として資料の棒読みで終わるのです。
毎回そんな状態であれば、基準は満たせても、同じ研修なのに内容が変わってくるし、ベースとなるものがなければ内容に矛盾が出てきます。
そんな研修なら、自分で調べ物をするのと変わりません。
時間もない中で参加してるのに個々で調べ物をするのと変わらない内容であれば研修をする意味がないし、時間の無駄です。
棒読みで終わるならその読んでる資料を配っても一緒です。
実際に、
「研修なんて無駄、いらない」
という声も多く聞いてきました。
これは、そう思わせる研修のやり方に問題があると考えます。
なので、研修をするにあたり、
研修テーマを熟知している人(介護技術なら確実にスキルを持っている介護職、医療面なら看護師、ポジショニングならPT、記録関係ならSW・CM、コンプライアンスなら管理職等)
こういった「専門分野・得意分野」をもつ職員に当面の間音頭をとってもらい、他数名の職員に資料のコピーや環境設営などのサポートにまわってもらうと良いでしょう。
仕込みをしっかりしないと本番でコケる可能性が高いです。
それから、研修の進め方。
先に書いた「資料の読み上げ」だけならわざわざ研修としなくても一緒です。
ちょっと時間はかかりますが、
資料をもとにグループワークをする。
実際に体験して感じたことを話し合う
などの形にすると良いと思います。
講義形式は、椅子から動かず資料を見る時間が多くなり、眠くなったり集中力が切れやすくなります。
それに当事者意識も感じにくく、
「どこか他人事」
と思われてしまう可能性もあり、内容が周知されにくいです。
動いたり話をしたりする方が肩の力も抜けるし、
「体で覚える」ことにもつながります。
技術面の研修や容体急変訓練なんかは特にそうです。
それと、
講義で聞いたことに対して感じたことを発表し合うこと。
自分の言葉として発信することはとても効果的です。
あとは、
「研修の進め方の見直し」と並行して研修、指導側の教育体制を整える。
委員会の中でもう一つ部署を作るなどして、研修・指導の目的、方針、進め方などを形作っていきます。
研修は誰が担当しても同じようなものができなくてはなりません。
研修担当が一人だけだと、その人に異動や退職があった際に大変な思いをします。
(経験済み)
そしてできれば個々で本や外部研修などで学んでくるといいと思います。
それをもとに話し合いを重ね、まとめていくことで形作りもはかどりますので。
研修は面倒ですが、得るものも多いです。
貴重な時間を使って出席しているのが無駄にならないようにしたいものですね。