闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

利用者の観察・評価をするポイントは「具体的」に示せ

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新しい利用者が来た、

対応を変えた、

具合が悪い利用者がいる…

 

こういう時よく、

「様子を見てください」

とか、

「観察してください」

などと言われます。

 

でも、その記録が薄かったり観察が甘かったりで、全然ケアに繋げられないケースがあります。

 

それは何故なのか。また、それを防ぐためにはどうしたら良いのかを考えました。

 

 

どこをどう観察するのか具体的に示す必要がある

ただひとくちに

「様子を見てください」

「観察してください」

「記録してください」

などでは、

その利用者のどこを気にかけるのか、どういう目的での観察なのかがわかりません。

 

実際に対応する現場の職員も、それでは動くに動けません。

 

わからないものだから、

重点的に観ようとしない

職員によって観察するポイントが違う

記録が薄い

となり、

 

その結果、

利用者の様子がわからない

具合が悪い利用者の詳しい体調や様子がわからない

対応を変えた後の利用者の状況・状態がわからない

となり、

 

具合が悪い人の対応が遅れる

不適切な対応を続ける

プランの評価ができない

となってしまいます。

 

そりゃそうですよね。

どこを重点的に観察するか決めてないんだから。

 

特にこういうケースは部署を超えた指示

(看護→介護・相談員→介護など)

では更に顕著です。

 

お互い職務が違うので、それぞれの

「ここを観察してほしい」

というポイントがずれやすいです。

 

そうなるともう大変。

酷い場合はお互いがお互いを責めたりします。

 

具体的な観察・評価ポイントを示す必要がある事例

あげたらキリがないですが、

 

新しく入所(サービス利用した)人

対応を変えた場合(食事形態や場所を変えた・入浴のやり方を変えた・排泄介助方法を変えたなど)

夜間の様子

事故の再発防止策を行ったあとの様子

体調が悪い人の様子

 

などでしょうか。

 

実際に行った観察方法を元に順に例をあげていきます。

 

①新しく入所(サービス利用した)人

転倒歴がある、起立性低血圧がある、認知症状があるなど、本人の健康面に直結する情報があれば、

「ふらつきの有無(あればその状況も)」

「言動」

「バイタル」

などを重点的に観察、記録するよう決めました。

 

そもそも環境が大きく変わるため、言動や行動観察は必須だと思っています。

こういう項目は入所の段階で多職種と検討して決定します。

それぞれの専門職で観察ポイントが変わるので。

 

そして期限を決めて観察、記録をしたうえで、最後に情報をまとめて、

 

新たに観察する点はないか

ケアのヒントはないか

 

などを話し合い、ケアプランに落とし込みます。

 

何か問題や気づきがあれば、再度観察項目を決め、期限を決めて観察、記録をして評価する。

 

この繰り返しです。

 

このやり方を行うことで職員による観察や記録のばらつきがなくなり、情報集約、プラン作成がスムーズになりました。

また、不適切(現状にあっていない対応)も減っていると感じました。

 

②対応を変えた場合(食事形態や場所を変えた・入浴のやり方を変えた・排泄介助方法を変えたなど)

食事であれば、

姿勢

手の動き

摂食量

意識

などを観察・記録しました。

(これも多職種と検討のうえで項目を決めています)

 

入浴であれば、

浴槽内の姿勢

移乗動作

などです。

 

排泄であれば、

モレの有無

移乗動作

姿勢

発赤などの有無

など。

 

センサーを使ったのであれば、

センサーが反応した時間

その時の本人の行動や言動

など。

 

それぞれの項目において、

どこに着目するか

どういうことが予測されるか

今後どうしていきたいか

などを軸に各専門職と協議し、観察ポイントを具体的に決めていきました。

 

期限を決め、評価していくところは①と同じです。

 

③夜間の様子

新入所の人、バイタルが不安定な人、不眠傾向の人や体動が多い人、夜になると行動や言動が大きく変わる人などが対象です。

 

バイタル(何を何回、何時に測るか)

ベッド上での姿勢

行動・言動

などです。

 

専門職間で観察ポイントを絞り、期限を決めて評価していくところは①と同じです。

 

④事故の再発防止策を行ったあとの様子

転倒があり部屋の環境を変えた、

傷や内出血ができたため介助方法を変えたなど。

 

事故の原因と再発防止策を結びつけ、

ぶつける要素はなかったか

傷ができる要素はなかったか

傷、内出血の有無及び大きさ

 

などを観察・記録します。

こちらも専門職間で観察ポイントを絞り、期限を決めて評価していくところは①と同じです。

 

⑤体調が悪い人の様子

これは主に看護と連携します。

 

予測される体調変化及びその対応策

どこをどう観察するのか

バイタルは何を何回何時に測るのか

 

などです。

 

ここは細かく確認しないと、介護と看護の認識違いで、

看護「介護は全然観察してない!」

介護「看護の指示内容があいまい!」

 

と、いらぬ火種が生まれます。

 

利用者にとってマイナスですよね。

 

おわりに

何事においても、利用者の様子観察とは、

何をどのように観察するのか

をハッキリと示す必要があると思います。

 

こうすることで認識違いも防げるし、正確な情報が集まりやすくなります。

 

なので、もし仮に

 

「様子みといて〜」

 

と言われたら、

 

「重点的にみておく部分はどこですか?」

 

と確認すると良いでしょう。

 

 

「様子をみてください」

の中には、人それぞれ色々な意味があるので。

 

つまりは、視点を統一しましょうってことです。