闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

施設の利用者が亡くなった時、それを他の利用者に伝える?伝えない?

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特養などの施設では、看取りを行っている事業所があります。

看取りを行なっていなくても、病気や老衰などで残念ながら施設で亡くなる人もいます。

 

施設で利用者が亡くなった場合、周りの利用者への対応はどうするか。

そんなことを考えました。

 

 

施設で利用者が亡くなった時、それを他の利用者に伝えるかどうか

利用者が亡くなるということは、今まで食事や入浴、その他活動などで人前に出てきていた利用者が急に姿を見せなくなるということです。

(厳密には、状態低下で居室安静になってからですが)

 

他の利用者からすれば、

 

「●●さん、最近姿をみないね」

 

と、気にする人も出てくるでしょう。

 

こういう場合、事業所・職員としてどう対応するといいでしょうか。

ひとつの考え方ですが私の考えを書いていきます。

 

本人や家族から希望がなければ、伝えたほうが良い

個人的には、本人や家族から

「言わないでほしい」

などと希望があったり、

 

事業所としての特定の決まりや手順がなければ、伝えても良いのではと思っています。

 

それは、利用者からみたときに、

「●●さんが姿を見せなくなった。変わりに見慣れない人が来るようななった。何かあったの?」

という疑問にきちんと答えるためでもあります。

 

変に「わかりません」などと言ったり、適当にごまかしたりした場合、

 

「知らないわけないだろう。この施設は何かあるとすぐ隠すんだな」

 

と疑われかねません。

 

利用者の中には、

「最後を見送りたい」

「挨拶をしたい」

 

という人もいるでしょう。

 

そういった人達の思いも考えず、気づいたときには既に本人も荷物も空で、

見慣れない人(新入所)がいつのまにかすごしているのです。

 

また、これも個人的考えですが、

最後、施設から帰るときに、

職員はともかく利用者に見送ってもらったほうが良いのではと思います。

 

家族としても

「ここで過ごせて良かったと思う」

と思ってもらえるのではと思います。

 

また、独居だった人や何らかの事情で家族との関係性が上手くいかなかった人の場合は、

 

最後、人に見送ってももらえず退所することになります。

 

それはあまりにも切ないのではと思います。

 

利用者の死を他の利用者に伝えない方がいいという意見

利用者の死を他の利用者に伝えない方がいいという意見もあります。

 

私がよく耳にしたのは、

 

「他の利用者が落ち着かなくなる」

 

というものでした。

 

確かに気持ちはわかります。

 

中にはそれを知らされることで混乱したり不安になる人もいるでしょう。

 

しかし、皆が皆そうとは限らないし、

こればかりは伝えてみないとわからない。

更に言えば、こちらの伝え方にもよると思っています。

 

仮に落ち着かなくなった場合、どの程度になるのか。

一時的なのか、長く続くのか。

そこに対しアプローチやフォローの可能性はないのか。

 

伝えてみないとわかりません。

 

だったら無難な道を選びたいという気持ちもわかります。

 

でもそれが

「伝えないで隠しておいていい理由」

にはどうしても思えないのです。

 

利用者の死を他の利用者に伝えていいかどうかは事前に確認しておく

「利用者の死を他の利用者に伝えた方がいい」

「いや伝えない方がいい」

 

どちらの気持ちもわかります。

 

真逆な意見なのですり合わせるのも難しいかもしれません。

 

なので、担当者会議の時などに確認しておくのがいいと思います。

 

こうすることである程度方向性は見えてきます。

 

中には、

「施設に入所していることを内緒にしているケース」

もあるので。

 

そういった個々の事情に配慮し、話をすすめていけば良いのではないでしょうか。

 

おわりに

死は誰にでも来るものです。

変に話題を避けたりする必要はないと思っています。

 

むしろそういった話題を避け続け、いよいよその時が近づいた時にはじめて説明されるほうがよほど混乱するのではと思います。

 

事実を随時きちんと説明し、家族側にも少しずつ心の準備をしてもらったほうが良いでしょう。

 

そのうえで、利用者が最後を迎えた時にどうするか。

皆に見送ってほしいのか、なるべくひっそり帰りたいか。

 

施設の意見を押し付けることなく、施設と家族と一緒に考えていければと思っています。