闘え!介護職

介護施設での実体験、学んできた知識等を書いていきます。主に施設の介護職員向きです。現場での悩みや葛藤に対し色々な考え方や方法を提案するという形で闘っていきます。

現場の工夫だけでは限界がある

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ここ最近、介護施設での事故による訴訟の報道が相次いでいます。

 

報道からは断片的だったり憶測が混じっているため個々のないようについてのコメントはしませんが、

 

こういう報道があると大体の施設は、

 

  • 利用者の行動を予測して事故を防ごう
  • 見守りを強化しよう
  • 意識を高めよう
  • みんなで考えて知恵を出し合って工夫していこう

 

等という言葉(もしくは上からの指示)が飛び交うことになります。

 

言ってることはわかるし、事故は防いでいかなければならないんですけど、

 

精神論ばかりで具体性がないんですよね。

 

  • 何をどうやって意識を高めるの?どういう状態が「高まった」ていうの?意識ひとつで対策ができるの?
  • 見守り強化ってどういう見守りにすれば「強化」になるの?
  • 人の行動を100%予測なんかできるの?できるならどうやって?

 

等、ツッコミたくもなります。

 

 

実際は、

  • 一人対複数の利用者の対応をせざるを得ない(配置基準ピッタリの場合)
  • 人間なのでイレギュラーな行動がある。というか、人間なので自分の意思を持っている
  • 病気の関係で、こちらの話や誘導が理解できない場合がある
  • 介護業務から雑務まで、幅広い業務内容。簡潔に言うと「時間がない」
  • 不規則勤務なのでストレス、ノイローゼ、体調の変化が起こりやすい
  • そもそも、一度に介助できるのは一人

(二人同時に移乗したり食事介助したりできませんよね。必然的に介助中は対象者にしか意識を向けられません)

 

などといった背景があります。

 

そりゃ事故も起こるわ!!

 

って言いたくもなります。

 

現実的に、

 

一つのユニット、もしくは担当フロアで、

 

配置されている職員数以上の利用者が事故につながる行動をとった場合、その時点でアウトですよね。

どちらかを優先せざるを得ない。

 

大体は、ダメージの少ない方を後にするでしょうが、その予測も完璧ではありません。

だって、人間ですからね。

 

でも見方を変えれば、

 

防ぎようのない事故を最小限のダメージで抑えた

 

とも言えるのではないでしょうか。

 

そうだとしたらその判断力はかなりのものだと思います。

 

 

 

それでもそういったギリギリの精神状態の中で仕事をしているのに、

更に

 

「考えろ」「工夫しろ」

 

なんてことだけを言われた日には、

爆発したくもなります。

 

せめて、

 

皆で一緒に考えようよ!

 

何のための組織なんですか。

 

 

それに、

工夫や考えだけでは限界があります。

 

  • 職員一人しかいない中、二人三人と同時に立ち上がって転びそうになる
  • ハード、環境面(動線が非効率的)
  • 機械の動作関係(コールやセンサーを押してから職員の端末に届くまでのタイムラグなど)

 

というような、どうしてみようもない理由もあります。

(明らかに職員のミスによるものもありますが…

そういった場合は誠意をもって説明し、丁寧に謝罪しましょうね)

 

確かに、普段から利用者の行動を観察し予測をたてることが可能な場合もありますが、

全部が全部そうとは限りません。

どうしても予測がつかないこともあります。

 

 

にも関わらず、なぜか事故の理由を問われた際

 

  • 人がいないから
  • 時間がとれないから

 

などといった理由は却下されがちです。

 

大体が、

 

職員の注意・意識・技術不足

 

という風に誘導されてしまいます。

 

たまったものじゃありませんよね。

 

 

そうなると、施設を責める理由ができてしまいます。

 

「こちらが悪い」

 

と認めてるわけですから。

 

「ほら、やっぱりアンタ達のミスじゃん!」

て言われてしまう状態を作ってしまいます。

 

こうなるとリカバリーが大変です。

いちどこじれた関係を修復するのは難しいです。

 

 

なので、

そういうイメージを持たれたり、毎回毎回責められるのもアレなので、

 

事故が起こったら、

キッチリ分析しましょう。

 

委員会の時などでもいいでしょう。

 

 

事故発生時(フロアでの転倒としましょうか)

 

  • フロアの職員と利用者の位置
  • 対象利用者の訴えや行動、食事水分量からバイタル、排泄、睡眠状態、職員との関係性
  • 事故を防げなかった状況(他の利用者の対応していた等)にかかった時間
  • 他の利用者の行動とその予測の範囲での理由
  • どれくらい時間と人数があれば防げた可能性があったか

 

など。

 

 

そしてこれらを踏まえて、

 

  • 現状の戦力で防げるものであれば次につなげる議論を。
  • 現状の戦力では防げないものは「何がどのくらいあれば防げる可能性があったか」

 

を議論します。

 

もちろんそれぞれ理由や根拠、データを添付して。

 

上辺だけみてあれこれ言ってくるような

「専門家」の人たちには、徹底的に議論しましょう。

決して介護側が怠けているわけではないと。

 

ただし感情的にならないように。

感情が先行して、「人がいない」「忙しい」

だけでは、言い訳にしか思われません。

 

きっちりと情報を整理して、冷静な態度で、

熱い意見をぶつけてやりましょう。

 

 

 

最後にもうひとつ。

 

介護施設は、絶対に怪我はしないし病気もしないし事故が起こらない。

 

そんなことはないです。

 

相手は人間でなおかつ介護や医療が必要な高齢者です。

 

予期せぬ事故は起こるし月日が経つとともに状態は低下していきます。

 

明らかに施設や職員に非があるならともかく、

そういった状態の低下や予期せぬ事故に対して責め立てるのは

 

「やりすぎ」

 

ではないでしょうか。

 

預けている側としては行き場のない感情をぶつけたいのもわかります。

でも施設も職員もできる限り事故を防ぎ、

できる限り状態の低下が自然で緩やかになるよう日々奮闘しています。

 

 

上辺だけの報道や投稿に惑わされないでください。