今日は施設生活における「生活の制限」について考えてみたいと思います。
すぐに思い浮かぶのは食事の
- 塩分
- 糖分
- 水分
- 餅は食べさせない
- 外食や惣菜などは食べさせない
でしょうか。
これについては言いたいことがあります。
それは、
「いちどそういう方針の施設に入ったが最後、その施設に入った利用者は二度と上記のものを味わえない」
です。
嫌ですよね。
それまで食べれていたものが急に禁止されるわけですから。
体調、病状管理が必要なのはわかります。
しかし、医療職をはじめとした他職種との協議をし、
禁忌事項を確認し食事形態、食事時の姿勢、食事の量を調整・検討をしたりすれば、時々はそういう希望にも答えられるのではないでしょうか。
それに、全員が全員そういった管理が必要な方とは限りません。
個別にアセスメントをしていますか?
他職種の意見を聞きましたか?
そこを考えず、一律で制限をさせる。
確かに、それで多少は長生きできるかもしれませんが、
それに関しても、亡くなった後に食事との因果関係を比較はしていないので予測にしかならないでしょう。
個別アセスメントもせず一律に管理された生活での長生きが果たしてその人にとって幸福といえるのでしょうか。
次に、介助についての制限です。どっちかというとこちらの方が気にかかります。
- ムセるからと刻み、ミキサー食じゃないとだめ
- 疲れるからと離床時間制限
- 手間だからと起こしっぱなし
- 車椅子じゃないとだめ(しかもクッション等はなし)
- 何かあったら大変と外出制限
- 体調を理由に入浴制限
- 他の人がうらやましがるからと持ち込み物品制限
- 立てないからとオムツにする
- 一度転倒・転落したからセンサー設置
- 夏は「暑いから・熱中症になるから」冬は「風邪を引くから・感染症の時期だから」と外出に消極的。外出したとしてもドライブ程度
等々…
いかがでしょう。
ひとつふたつは覚えがありませんか?
きちんとその人の状態をみたうえで、かつ他職種と協議をしたうえでの根拠ある判断ならばまだいいですが、
・ムセたから
・ふらついたから
・傾眠したから
・年だから
など、ちょっとした理由で決めてませんか?
これも制限といえるのではないでしょうか?
ムセやふらつきなどがあったとして、
・頻度はどうか
・その時の状況はどうだったか
など、しっかり調べたうえで、その原因となるものを予測して対応すれば、すぐに形態を落とさなくても良かったりします。
(状況によっては意外と介助方法を見直せば解決したりします)
また、いちど形態を落とした介助内容はなかなか元に戻せません。
(危ない・この方法が安定している・何かあったらどうする等)
安易な変更は、利用者の生活水準を低下させかねません。
確かに安全に過ごせるかもしれませんが、生活の質としてはどうでしょう。
全員一律に管理された室温、管理された食事、管理された生活パターン。
アセスメントも何もせずにそんな生活を強いているのであれば、それは間違っていると思います。
更に言うと、
介護におけるリスクに対して社会は不寛容です。
だからますます消極的な対応となり管理された生活になっていきます。
公園から遊具が消えたり、警察・消防士・自衛隊などの人が飲み物買ったら文句をつけ、
モンスターペアレントも出てきて、
更にはあおり運転。
こんな社会なら介護業界に限らずとも、
ガチガチの管理・マニュアル主義になり、臨機応変な対応はできなくて当然です。
何やっても文句言う人がいるから。
生活全般に介護が必要なくらいの心身状態の利用者を相手に、介護施設は運営しています。
そのため、生活に何かしらの制限や管理が必要な場面も少なくないし、それは仕方ないことがと思います。
だって、そうしないと生活そのものができなくなるから。
ただし、
一律に管理、制限するのではなく、個別に検討し、落とし所を見つけることは可能だし、実際にやってきたし、実際にやっている施設もあります。
「何かできることはないか」
「何か工夫できることはないか」
色々な職種が一緒に働いている業界ですから、それぞれの専門性を活かした対応を行いたいです。
あと、最後に。
介護施設は利用者全員一律で管理、制限をしているわけではありません。
(だったらケアプランなんて無いわけだし)
それを勘違いして、施設は自由がないとか刑務所だとか言う人がたまにいますが、
それは冒頭に書いた「個別アセスメントも何もせずに全員一律に対応を決めている場合」
ならまだ気持ちはわかります。
少し前に書いた通り、介護施設を利用する人達は、
生活全般に介護が必要なくらいの心身状態の利用者
であり、
何かしらの形で管理、制限がないと生活そのものができなくなる
人がほとんどです。
何も考えずに全てを自由にしたら、生活そのものに影響が出ます。
そこはわかって頂きたいものです。